ごみ焼却施設の脱炭素化に向けた取り組み
三菱重工業株式会社
概要
国内で発生するごみを安定的に衛生処理するごみ焼却施設の発電効率の向上と省エネ化を進めることは炭酸ガス排出削減に寄与できる一つの有効な方法である。
そのため、当社グループでは、焼却する際に発生する熱エネルギー回収を一層推し進めるとともに、焼却施設内で消費するエネルギーを極力減らし、最新のICT技術を応用して施設の遠隔監視・運転、自動化、省力化を推し進めるような取り組みを行っていく。また、このような技術を海外諸国の実状に合わせながら普及させていくように取り組んでいく。
説明
我々の日常生活や産業活動から排出されるごみは多種多様であり、これらを安全に衛生的に処理することが求められている。
主に、家庭、飲食店、オフィス等から日々出されるごみは一般廃棄物と呼ばれ、日本国内では年間4,300万トン(国民一人・一日当たり920グラム程度)の一般廃棄物が排出され、その内80%程度が高温で焼却され、衛生的に処理されている。
日本国内で廃棄物分野から発生する炭酸ガス量は全発生量のうち2%程度を占めるに過ぎないが、ごみの焼却処理の際に発生する高温排ガスは多量の熱エネルギーを有しているので、これを有効に利用することが重要であり、現在はボイラで熱エネルギーを回収し、蒸気を発生させ、タービン発電機で発電している。
ごみ中に含まれる塩素の影響で、ボイラ管が腐食雰囲気にさらされるため、現在のごみ発電の効率は20%程度に抑えられている(大型火力発電所の発電効率は40数%~60%超程度)。そこで当社グループでは、ボイラ管の保護方法や新材料等の技術開発によりボイラ蒸気条件を現状の4MPa x 400℃級からさらに高い領域にまで上げ、発電効率を高める取り組みを行っていく。また、既存の古いごみ焼却施設内で消費する電力を削減するために、送風機等のインバーター化、LED照明導入、太陽光発電の導入、低温排熱の有効利用を一層進めるような取り組みを行う。これらに加えて、ICT技術をこれまで以上にごみ焼却施設に導入し、遠隔監視、遠隔運転、運転自動化、省力化を推し進める取り組みを行っていく。
連携先
三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社