新冷媒による大空間および工場プロセス向けターボ冷凍機の普及拡大
三菱重工業株式会社
概要
大空間および工場プロセス向け冷熱源であるターボ冷凍機では従来、GWP(*1)が1300である冷媒HFC-134aを専ら使用してきたが、モントリオール議定書“キガリ改正”においてHFC冷媒の段階的削減義務が決定。また国内においてはフロン排出抑制法に基づき低GWP冷媒への置換が求められている(*2)。
当社グループでは他社に先駆けて、GWPが1以下の代替冷媒を用いた製品ラインナップの整備を済ませた。これらの普及率拡大を早期に進めることを通じて、トランジション段階における環境負荷軽減に寄与することを計画している。
(*1) GWP: Global Warming Potential(地球温暖化係数)はCO2を1とした時の当該物質の温室効果の程度を表す指数。
(*2) 同法では2025年までに製造業者の出荷機のGWPを加重平均で100以下に規制
説明
・ 到達目標
当社グループ販売製品に占める上掲新冷媒対応機種の構成比を2023年までに75%とする。現行冷媒機種の販売が実質的に終了となる規制が2025年から開始となるが、これを先取りした形で新冷媒対応機種の普及促進を図る。
(ユーザ判断に任せた場合の当社販売台数に占める新冷媒機種台数構成比は、2023年時点で50%程度に留まると推定)
・ チャレンジが実現した場合の定量的効果
国内市場稼働台数における新冷媒対応機種の構成比が100%の場合、ターボ冷凍機からのHFC冷媒直接排出 8,296千ton-CO2(2012年度 経産省 温室効果ガスインベントリ報告書より)が、5.8千ton-CO2と抑制される。これに加え、リプレース対象となる既設機(1990年代の当社機を想定)と比較すると約40%の省エネルギーが可能であるが、国内にはリプレース対象となるターボ冷凍機は約1,300台の市場ストック台数があり、これらを開発機に置換することにより省エネ効果として年間約168千トン-CO2を削減することが可能となる。
・克服すべき課題
イニシャルコストにおいて従来冷媒機種対比 110~140%。
・当社グループの具体的なアクション
新冷媒機種は現行機種対比でイニシャルコストが高いが、いわゆる環境負荷低減を打ち出している企業を中心に採用が進みつつある。今後はコスト競争力を高めてそれらアーリーアダプターの取組みに貢献するとともに、市場の大多数が代替冷媒機種の採用に向けて動き始める時点で確固たる実績を構築する。
連携先
三菱重工サーマルシステムズ株式会社
補足情報
小容量~中容量タイプ:
http://www.mhi-mth.co.jp/products/detail/hfo-1233zd_turbo_freezer_eti_series.html
中容量~大容量タイプ:
http://www.mhi-mth.co.jp/products/detail/gart-ze_series.html