QoEnTMによる質の高いエネルギーインフラの方向性の見える化
三菱重工業株式会社
概要
温室効果ガス排出量の抑制や持続可能な世界の実現に向けた開発目標の設定など、気候変動対策の国際的な取組みが加速する中、当社は、質の高いエネルギーインフラのあるべき姿を定量的に提示するため、QoEnTMという指標の開発に着手している。
都市開発等の計画段階から、対象エリアで必要なエネルギー供給を賄うことができかつエリアの持続可能な成長を支援する最適なエネルギーインフラについて、対象エリアへの影響度を社会・経済・環境の3側面にわたって定量的に評価し、都市開発関係者や投資家などに提示することを目的としている。
説明
都市開発等の計画段階では主に、①どの様な社会を目指すのか、②どの様に投資を呼び込むか、③どの様なエネルギーインフラを適用するか、が検討される。当社では対象エリアの公共データを活用して社会・経済・環境の3つの指標(Index)を数値化し、現状と将来のギャップを示すとともに、新たなエネルギーインフラの導入が対象エリアにどの様に貢献するかを評価するツールを開発中である。
これにより、エネルギーインフラの計画者や投資家に、質の高いエネルギーインフラの方向性を提示することを目指しており、このツールの総称をQoEnTM(クウォン)として商標出願を行っている。なお、将来的にはこの評価ツールを外部公開し、公共データがあれば第三者でも使用可能なツールを目指している。
また、QoEnTMの特徴は、対象エリアの地域統計データなどの公共データを用いて、社会・経済・環境の指標を数値化して現状を見える化するとともに、そのエリアの開発目標や成長目標などを将来指標として算出し、現状とのギャップを示すことにある。さらに、数値化した3指標を三角形のイラストで示すことにより、バランスや他エリアとの比較を一目で把握することが可能となる。
フェーズ1
エネルギーに関連する因子を抽出し、指標を作成
フェーズ2
① 指標の現状値を算出・見える化
② 開発目標や成長目標などを将来指標として算出・見える化
③ 新たなエネルギーインフラを設定し、現状値への影響をシミュレーション
フェーズ3
シミュレーション結果を評価し、評価結果に基づき新たなエネルギーインフラの方向性を提示
このQoEnTMの適用により、対象エリアの開発目標や成長目標に対する現状のポジショニングと、新たなエネルギーインフラの導入により、現状値をどの程度将来指標に近づけることが出来るかを定量的かつ視覚的に示すことが可能となる。
連携先
豪州ニューサウスウェールズ大学(共同実証研究)
補足情報
詳細は、三菱重工技報Vol.57 No.1(2020)新製品・新技術特集を参照
https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/571/571030.pdf