カーボンリサイクルメタノール製造
三菱重工業株式会社
概要
脱炭素社会の実現に向け、多様な排出源から回収したCO2と再生可能エネルギーを利用して製造した水素(再エネ水素)を原料として、非化石原料由来のメタノール製造技術の普及を目指す。
CO2を炭素資源と捉え、これを回収し化学品原料や燃料等に変換し、大気に放出されるCO2量を削減する「カーボンリサイクル」において、基礎原料の一つで安定した需要のあるメタノールはカーボンリサイクルの技術を用いて製造可能な化学品である。環境負荷低減や再エネ水素の技術開発動向を見据えて経済性評価を行なうことで、メタノール製造技術のポテンシャルの把握と製造技術の最適化を早期に検証し、脱炭素社会構築への取り組みに積極的に貢献していく。
説明
現在、一般的には炭化水素を原料として製造される水素(H2)及び一酸化炭素(CO)を主成分とする合成ガスからメタノールを製造するが、H2とCO2で構成される原料ガスからもメタノールを合成することは可能である。然しながら、合成ガスに比べてCO2は反応性が大幅に低く、メタノールと同程度の水が副生されてしまう為、メタノール合成を長期間安定的に行う最適なメタノール合成プロセスを構築する必要がある。
また、経済性がカーボンリサイクル技術や再エネ水素を適用したメタノール製造における課題となっているが、大型化のみならず、メタノール合成設備を小型標準化することでコストを抑える可能性を追求することも重要な検討課題である。将来的には、現在開発中の再エネ水素製造の為の水電解装置の容量(～10MW)からメタノール製造量10～20トン/日程度のプラント設計の最適化も視野に入れている。メタノールの製造コストは，化石原料由来のメタノール製造コストに比べると割高であるが、最新技術を取り入れる等からコスト低減を追求し、温暖化対策の支援制度の整備状況によっては、総合的には化石原料由来のメタノールと同レベルの市場価値を持ち得るものとなる事を期待する。
当社グループは、世界各地で大規模メタノールプラントの建設実績を積み重ねており、当社が保有するCO2回収技術と融合してこれまで蓄積してきた技術と知見を活用し、カーボンリサイクルメタノール製造技術の普及を後押ししていく。
なお、当社グループおよび三菱ガス化学（MGC）は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）の「苫小牧のCO2貯留地点におけるメタノール等の基幹物質の合成によるCO2有効活用に関する調査事業」で、北海道苫小牧市の製油所から発生するCO2の回収・貯留（CCS：CO2 Capture and Storage）実証事業に使われている設備の活用により、回収CO2からメタノールを合成するCO2利用（CCU：CO2 Capture and Utilization）技術に関して、2021年2月下旬まで調査事業を実施する。
連携先
三菱ガス化学株式会社
三菱重工エンジニアリング株式会社
三菱パワー株式会社
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