高効率色素増感太陽電池用チタニア材料の開発
日揮ホールディングス株式会社
概要
日揮グループの機能材製造事業会社である日揮触媒化成株式会社は、室内光など低照度で発電できる高効率の色素増感太陽電池:Dye Sensitized Solar Cell (DSSC)用チタニア材料を開発することを目指しています。そのDSSCを使用した自律電源のみで稼働するワイヤレスIoTセンサーは、今後普及する可能性が高いスマートファクトリーに活用され、機器の予知保全による不稼働損の抑制、生産設備の制御とエネルギー管理の連携により、生産効率の維持と省エネが期待できます。
説明
色素増感太陽電池(DSSC)の発電機構は、以下の通りです。酸化チタン(TiO2)薄膜にRu錯体などの色素を吸着させた電極(光電極)を用い、電解質を伴う酸化還元反応を利用して電気を得ます。Ru錯体などの色素は可視光を吸収して電子を放出し、チタニアが電子を受け導電層へ渡し、次いで光電極はヨウ素イオン(I3⁻)をI⁻に酸化します。
起電効率はシリコン太陽電池と比較すると劣りますが、一般的に知られているシリコン太陽電池の製造コストと製造時のエネルギー消費量に比較して、低コスト、低エネルギーで生産することが可能です。また、散乱光や屋内照明等の微弱光でも効率よく発電できる次世代太陽電池として注目されています。
日揮触媒化成は、これまで培ったナノ粒子調製技術を活用し、種々のチタニア材料の開発を行っています。当社チタニア材料は、高表面積でかつ小粒子径であっても粒子の揃った電気の通りやすいアナターゼ型結晶構造を有しており、世界トップレベルであると自負しています。
またTiO2粒子を高沸点溶媒に分散させたペーストを用いるスクリーン印刷法は、光電変換効率が高く広くユーザーで検討されています。実用例としては、室内でスマートフォンを携帯する歩行者に、位置情報信号などを発信するビーコンに使用されています。
日揮触媒化成は、引き続きDSSC商品活用のために顧客と協力し、実用化を進めていく予定です。