アンモニアを水素キャリアとしたエネルギーサプライチェーンの構築
日揮ホールディングス株式会社
概要
パリ協定のCO2排出削減目標の達成のためには、発電分野からのCO2排出量削減が必須です。このため再生可能エネルギーなどCO2フリーエネルギーの大幅な導入が望まれていますが、わが国で利用できる量には限界があります。日揮グループの総合エンジニアリング事業会社である日揮グローバル株式会社(日揮グローバル)は、アンモニアを水素キャリア、すなわちエネルギーキャリアとして位置づけ、化石資源および再生可能エネルギーからCO2フリーのアンモニアを製造・輸送・利用するサプライチェーン構築の検討を行うとともに、再エネからのアンモニア製造技術開発を実施しています。本技術が商業実装されることにより、発電分野からのCO2排出を大幅に削減することが可能となります。
説明
水素は、クリーンな燃料、エネルギーキャリアとして着目されていますが、水素自体は輸送しにくいため様々な水素キャリアが検討されています。その中でもアンモニアは、他の水素キャリアに比べて輸送時の体積あたりの水素量が最も大きく、すでに大規模に製造・輸送されており、その取扱技術も確立されていることから、水素キャリアとして最も有望なものとして着目されています。さらに、アンモニアを燃料とした発電技術として、ガスタービンやボイラーでの燃焼技術も開発されています。このため、製造時のCO2排出量を抑制したCO2フリーアンモニアを製造できれば、発電分野からのCO2排出量の削減に大きく寄与することが可能となります。
日揮グローバルは、従来のアンモニア製造法である天然ガス改質からのアンモニア製造とCCS(CO2回収貯留)やEOR(石油増進回収)を組み合わせることで、化石資源からCO2フリーアンモニアを製造するプロセスの検討を行っています。
さらに、太陽光や風力といった変動性再生可能エネルギーからのCO2フリーアンモニア製造を目指して、従来法に比べてより低温・低圧でのアンモニア合成のためのアンモニア合成触媒開発と合成プロセスの実証試験を、産業技術総合研究所と共同で実施しました。さらに、実際に再エネ電力を用いて水素を製造し、これをアンモニアに転換して、ガスタービンで燃焼させて発電するという、アンモニアキャリアのサプライチェーンのデモを実施し、世界初の実証試験も成功裏に終えました。
日揮ホールディングスおよび日揮グローバルは、強みであるエンジニアリング技術を活かし、アンモニアを水素キャリアとしたエネルギーサプライチェーンの商業実装を行い、CO2排出量の大幅削減への貢献を目指しています。
連携先
産業技術総合研究所