HiPACT® 技術によるCCUSへの貢献
日揮ホールディングス株式会社
概要
HiPACT技術は、日揮グループの総合エンジニアリング事業会社である日揮グローバル株式会社(日揮グローバル)とBASF SEが共同開発したCO2回収技術であり、CCS/CCUへの経済的な適用に資するプロセスです。主要な適用先は、天然ガス処理プラントですが、LNGプラントや水素製造プラントからのCO2回収など幅広く適用することが可能です。
HiPACTに用いる溶剤は、既存の溶剤と比較して高いCO2吸収能力を有することから、溶剤循環量の低減とCO2回収設備の設備費及び運転費の双方が低減することが可能です。回収したCO2をCCSやCCUに適用する際には、高圧でのCO2排出により圧縮工程の負荷低減が可能となります。HiPACT技術は、CCSやCCUのためのCO2回収技術として、経済性の向上と消費エネルギー低減に貢献できることから、日揮グローバルは、本技術のさらなる普及拡大を目指しています。
説明
HiPACT技術は独自の溶剤を用いたCO2回収技術です。CO2回収において、CO2吸収塔でCO2を吸収した高濃度CO2溶液は、フラッシュやストリッピングによって再生され、その際にCO2が放散される。HiPACTの溶剤は優れた熱安定性に特徴があり、既存の溶剤よりも高温高圧(150℃及び5baraで、既存では例えば2bara)での放散が可能です。
地中貯留によるCCSを行うには、回収したCO2を200barg程度まで昇圧する必要があり、HiPACTを用いることにより、回収したCO2を昇圧するコンプレッサーの段数を既存溶剤で必要な4段から3段に減らすことが可能となり、初期コストを低減することができます。
HiPACT技術は、日揮グローバルとBASFとの共同開発により、2005年に開始され、ラボ試験での検討を経て、2011年に国内の天然ガス設備にて実証試験を行いました。その後2015年よりHiPACT技術を採用した初の商業装置が、天然ガスからのCO2回収に採用され、現在も順調に運転されています。
HiPACT技術は、商業化実績のある信頼性の高い技術として確立されており、日揮グローバルは、本技術のさらなる普及拡大を目指しています。
[チャレンジの目標]
・ HiPACT技術のCCS/CCUへの適用:2030年までに10基以上の導入
・ HiPACT技術の採用先:天然ガス処理以外への採用の拡大
[チャレンジのためのアクション]
・ CO2回収の適用先のケース検討
・ HiPACT技術のプロモーション
連携先
BASF SEとの共同ライセンス技術
補足情報
高圧再生型CO2回収(HiPACT®)プロセス
https://www.jgc.com/jp/business/tech-innovation/environment/hipact.html
二酸化炭素(CO2)地下貯留技術
https://www.jgc.com/jp/esg-hsse/environment/hipact-ccs/