廃棄物等を用いた二酸化炭素の炭酸塩化技術開発
日揮ホールディングス株式会社
概要
日揮グループの総合エンジニアリング事業会社である日揮グローバル株式会社(日揮グローバル)は、二酸化炭酸の貯蔵と利用を両立するプロセスとして炭酸塩鉱物化に注目し、出光興産(株)と宇部興産(株)などと共に炭酸塩鉱物化プロセスの実用化を目指すCCSU研究会を2019年3月に立ち上げました。本研究会では、廃コンクリートなどのカルシウムやマグネシウムを含む固体廃棄物を原料として、原料からカルシウムイオンやマグネシウムイオンを抽出し、二酸化炭酸と会合させることにより不溶性の炭酸塩を生成させるプロセスの開発を行っています。なお、生成した炭酸塩はプラスチックやカーペットのフィラーやコンクリートの骨材として利活用するシステムを考えています。日揮ホールディングスおよび日揮グローバルは、本技術等の開発・実証により、二酸化炭酸固定化を社会実装したいと考えています。
説明
日揮グローバルなどが設立したCCSU研究会は、カルシウムやマグネシウムを多く含む廃棄物等から抽出したカルシウムイオンやマグネシウムイオンと二酸化炭素から炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)を製造することで二酸化炭素の固定化を行う技術の開発、および社会実装を通して、二酸化炭素の排出量削減に貢献することを目指しています。大量の二酸化炭素を貯蔵・固定化できる技術として、現時点ではCCSがありますが、CCSは単なるコストであり価値を生産しません。一方で、本技術は、炭酸塩という有価物を製造、また、化学反応的に自発の方向であり、転換に必要なエネルギーは小さいことから、二酸化炭素の固定化に要するコストを少なくともCCSコストより低減させることができると期待しています。さらに、付加価値の高い炭酸塩を製造することで、二酸化炭素を固定化しつつ収益を上げられる可能性もあると考えています。
本技術は、IGCCやケミカルプラント等から排出されている高濃度二酸化炭素や、火力発電所等から排出されている低濃度二酸化炭素にも適用可能であり、これらを含めた様々な二酸化炭素排出源への適用が期待できると考えています。必要な技術開発を進めることで、2030年頃から社会実装することを目指しています。
技術課題としては、廃棄物からの効率的なカルシウム・マグネシウム抽出、プロセスの更なる省エネ化、スケールアップなどが考えられます。技術課題以外にも、廃棄物の効率的な収集システムの構築、製品および残渣の用途開発等が求められます。
日揮グローバルは、こうした課題の解決に向けて、出光興産株式会社、宇部興産株式会社および技術シーズを有する大学と共にCCSU研究会を立ち上げ、技術開発に取り組んでいます。研究会の中で、日揮グローバルはプロセス構築や全体最適化などの役割を担っています。
本技術が実現された場合の効果としては、廃コンクリート、焼却灰等カルシウムを含む廃棄物を原料として用いた場合、1千万トン程度の二酸化炭素を固定化できるポテンシャルがあると考えています。
連携先
出光興産株式会社および宇部興産株式会社との共同開発
補足情報
詳細は、当社のプレスリリースを参照
https://www.jgc.com/jp/news/assets/pdf/20190610_1.pdf