DDR型ゼオライト膜による二酸化炭素分離
日揮ホールディングス株式会社
概要
天然ガス中に含まれる二酸化炭素は、製品ガスの仕様にしたがって分離・回収する必要があります。現在は、主にアミンプロセスや有機膜によって、二酸化炭素の分離・回収が行われていますが、高濃度の二酸化炭素を含んだ天然ガス向けには、コストおよび性能に課題があり、ガス田の開発が進んでいません。
日揮グループの総合エンジニアリング事業会社である日揮グローバル株式会社(日揮グローバル)と日本ガイシ㈱が共同で開発した、DDR型ゼオライト膜を用いたCO2分離・回収技術は、高濃度の二酸化炭素を含んだ天然ガスあるいはCO2-EOR (Enhanced Oil Recovery)の随伴ガスから、二酸化炭素を効率的に分離・回収することができる技術です。本技術は、近年、CCS普及の緒として認識され始めたCO2-EORを推進することができる技術として期待されています。日揮ホールディングスおよび日揮グローバルは、CO2の分離・回収設備の設計・建設のみならず、DDR型ゼオライト膜を活用した新たなビジネス創出にも取り組んでいます。
説明
従来の有機膜は、短期間で劣化してしまい高濃度の二酸化炭素が含まれているような天然ガスには使用できませんでしたが、DDR型ゼオライト膜(以降DDR膜)は、劣化しないため、長期間使用することができます。また、透過側へのメタンロスが有機膜に比べて非常に少ないことも特徴の1つです。CO2-EORは、枯渇油田に二酸化炭素を注入する事により原油の回収を増進する技術ですが、同時に注入した二酸化炭素の相当量が地中に貯留されることになり、石油開発企業は、利益を産みながらCCSを推進する技術として注目しています。
日揮グローバルは、2017年に米国・テキサス州で実ガス(CO2-EORを実施している油田からの随伴ガス)を用いた小型膜での実証試験を成功裏に終了し、現在同じ場所で大型膜(商業装置と同じ大きさのもの)を用いた実証試験を2020年春先から開始すべく準備中を行っています。大型実証試験は1年間ほどを想定しており、この大型実証が成功裏に終了したのち、このCO2-EORのサイトに商業装置を導入予定です。
本技術は、高濃度二酸化炭素含有ガスからの二酸化炭素分離回収に優位な技術であり、日揮グローバルは、CO2-EORに適用してCCSを推進する事により、地球温暖化の抑制に貢献したいと考えています。加えて、日揮ホールディングスおよび日揮グローバルは、DDR型膜を活用した新たなビジネスを創出し、DDR型膜の利用拡大を図ることで、地球温暖化の抑制に貢献していきたいと考えています。
連携先
日本ガイシ㈱