分散型エネルギーリソースの有効活用（バーチャルパワープラント）

東京ガス株式会社

図集①：CGS・地域冷暖房等と蓄電池を組み合わせた高度な制御技術の実証イメージ

図集②：蓄電池とCGSによる同時同量のイメージ

図集③：同時同量の実現結果（橙：実積値、青：計画値）

概要

需要家側の分散型エネルギーリソースを遠隔・統合制御することで、大規模発電所と同等の機能を提供するバーチャルパワープラント（VPP）に注目が集まっている。当社グループが従来から導入・普及を進めてきたコージェネレーションシステム（CGS）や地域冷暖房等は、VPPのためのリソースとしても活用が期待されている。
当社は、経済産業省のVPP構築実証事業への参画を通じて、CGSと蓄電池とを組み合わせた電力の需給バランス調整に関する技術の実証を行っている。さらに当社グループにおいて、事業所に分散設置されている太陽光発電、蓄電池、CGSを自動で統合制御するVPPを実用化し、運用を開始することで、複数サイト間における電力需給バランスにおいて、極めて高いレベルでの同時同量を実現している。

説明

近年、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入が大きく進んでいる。これらの出力変動を補うための調整機能として、需要家側の分散型エネルギーリソースを遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整等、大規模発電所と同等の機能を提供することができるVPPに注目が集まっている。当社グループでは従来から、CGSや地域冷暖房等の分散型エネルギーリソースの導入・普及を進めており、CGSについては、現在、約200万kWの導入実績を有する状況にある。

当社は、経済産業省「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金」の実証事業に参画し、長時間の運転が可能であるCGSや24時間の監視・運用体制がある地域冷暖房等と、高速応動が可能である蓄電池とを組み合わせた高度な制御技術の実証に取組んでいる。電力の需給バランス調整に関する技術の実証等を通じて、多様な企業との連携によるVPP事業の拡大等、低炭素社会の実現と新たな価値創出に取り組んでいく。
また当社グループにおいて、事業所に分散設置されている太陽光発電（PV）、蓄電池、CGSを自動で統合制御するVPPを実用化し、運用を開始した。具体的には、当社横浜研究所と平沼ビルのPV電力利用も考慮した建物電力負荷に応じ、東京ガスエンジニアリングソリューションズ（TGES）幕張地域冷暖房センターのCGSで発電した電気を自己託送により送電するものであり、複数のサイト間における電力の需給関係において、極めて高いレベルで同時同量が実現できることを確認した。各設備を統合制御するVPPシステムとしては、TGESの遠隔自動制御システム「Helionet Advance（ヘリオネットアドバンス）」を活用し、常時監視データを用いて、複数サイトの建物電力負荷やPVの出力変動を短期的かつ高い精度で予測可能としている。また、これらの予測によりCGSからの送電量を最適化し、さらに突発的な細かい変動分を蓄電池で吸収するなど、全体統合制御により気象条件の変動や急激な建物受電量の変化にも対応し、需要と供給のバランスを絶えず保ち続けることが可能である。高精度の予測やCGSとの連携により、PV規模に対して小容量の蓄電池で需給調整が可能となり、今後、環境性・経済性に優れた再エネ電源も含む分散型エネルギーシステムの最適化・地産地消への応用が期待できる。