天然ガスの高度利用
東京ガス株式会社
概要
元来より天然ガスは環境性に優れた燃料であるが、その利用段階における効率向上を追求することにより、一層のCO2排出量の低減が可能である。このようにして最小化したCO2排出に対し、将来技術であるCCUSやメタネーション技術等を適用することにより、CO2ネット・ゼロのトランジションを確実なものとしていくことができる。
そこで、天然ガスのパイプライン未整備エリアにおいても、このようなCO2ネット・ゼロにつながる天然ガスを活用するための取り組みとして、「LNGサテライト」を紹介するとともに、具体的に天然ガスを燃焼する段階の高効率化技術として「リジェネレイティブバーナー」を紹介する。
説明
【LNGサテライト】
LNGサテライトは、天然ガスの需要地がLNG受入基地や既存のガス導管から離れていて延伸が困難な地域に天然ガスを供給するためのガス製造所である。サテライトまではLNGをタンクローリーで輸送し、現地で貯蔵されたLNGを気化してガス導管により供給する。
LNGサテライトの活用により、天然ガスのパイプライン未整備エリアにおいても、CO2ネット・ゼロにつながる天然ガスを活用することが可能となる。
高い安全性の確保を前提に、省スペース化を実現するための気化器等の技術開発や自動受入システムによる省力化等、サテライトにおいても低コストな天然ガスを供給するための技術開発とその実装に向けたチャレンジを継続している。
【リジェネレイティブバーナー】
リジェネレイティブバーナーは、バーナーと蓄熱式熱交換器を一体化したバーナーであり、2台のバーナーを1対として数十秒間隔で交互燃焼させる。燃焼側の燃焼排気を、対となる排気側で吸引して燃焼排気の持つ熱エネルギーを蓄熱体に貯える。燃焼モードが切り換わると流れが逆になり、熱を貯えた蓄熱体により燃焼用空気を予熱し、燃料と混合して燃焼する。そして燃焼排気は反対側のバーナーに吸引され内蔵した蓄熱体を加熱する。これを交互に繰り返し、予熱した高温空気を利用することにより熱効率を高めて燃料使用量を大幅に削減することが可能である。同時に、FDI(Fuel Direct Injection)燃焼方式により排ガス中のNOxも大幅に低減できる。
リジェネレイティブバーナーの採用により、重油燃焼の従来型バーナーと比較してCO2排出量を50%以上削減できるため、特に高温熱利用分野における低炭素化技術として非常に有効である。
お客さまが要求する温度レベルや均一な温度分布等を実現するために、蓄積したエンジニアリング技術を活用しながら、現場ごとに最適化するチャレンジを行っている。