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燃料電池の更なる高効率化技術

東京ガス株式会社

図集①:SOFCスタックの二段化技術と燃料再生技術を組み合わせた高効率化のためのシステム化技術

図集②:実証試験に用いるSOFCシステム外観図

図集③:プロトン伝導SOFCの発電原理と特徴

概要

現在、実用化されている固体酸化形燃料電池(SOFC)の発電効率は、火力発電所の平均熱効率を上回るレベルであるものの、将来の脱炭素社会の実現に向けて、更なる高効率化が望まれている。当社グループは、二つのアプローチでSOFCの高効率化に取り組んでいる。一つ目のアプローチは、投入した燃料をより多く発電に利用するためのSOFCスタックの二段化技術と燃料再生技術を組み合わせたシステムの高効率化技術の実用化である。このアプローチは、システムメーカーとともに発電システムの実証試験の段階にある。二つ目のアプローチは、従来のSOFCと異なるプロトン伝導体と呼ばれる材料を電解質に用いたプロトン伝導SOFCを開発し、一つ目の技術と組み合わせた更なる高効率化技術の研究開発である。

説明

現在、家庭用や業務・産業用として実用化されている固体酸化形燃料電池(SOFC)は、環境性の高い天然ガスを主成分とした都市ガスを燃料としており、50~60%LHV程度という発電効率を実現している。この発電効率は、火力発電所の平均熱効率を上回るレベルであるものの、将来の脱炭素社会の実現に向けて、更なる高効率化が望まれている。現在、当社グループは、他企業様、研究機関および大学等と連携しながら、主に二つのアプローチでSOFCの高効率化に取り組んでいる。

一つ目のアプローチは、投入した燃料をより多く発電に利用するためのSOFCスタックの二段化技術と燃料再生技術を組み合わせたシステムの高効率化技術の実用化である。本システムでは、2つのスタックの燃料供給ラインを直列に配置するとともに、2つのスタック間に燃料再生のプロセスを設ける。一段目のスタックで発電に使用された後の燃料オフガスは、燃料再生のプロセスにおいて、発電に寄与しないCO2およびH2Oが分離・除去され、燃料オフガス中に含まれていた未反応のH2およびCO濃度が高まることで、二段目のスタックで効率的に再利用することが可能となる。これにより、従来のSOFCシステムでは、投入した燃料の70~80%が発電に利用されるのに対して、本システムは90%超の燃料を利用することができる。本システム化技術については、2017年度に5kW級の出力規模において、世界初となる発電効率65%LHVを主要部品のみを用いて原理実証した。現在、本システム化技術の実用化に向けて、三浦工業さまとシステムを開発して実証試験の段階にあり、システムとしての発電性能や耐久性・信頼性の検証を行い、本実証で得られた知見の活用や課題の解決を進め、早期の商品化を目指す状況にある。

二つ目のアプローチは、プロトン伝導SOFCと一つ目のシステム化技術と組み合わせた高効率化技術の研究開発である。現在のSOFC は、酸化物イオン(O2-)が電解質を伝導することで電気が流れ発電するのに対して、プロトン伝導SOFCは、プロトン(水素イオン,H+)が電解質を伝導することで発電するタイプのSOFCである。プロトン伝導SOFCは、従来の酸化物を電解質に用いたSOFCと異なり、発電によって生成した水が燃料を薄めることがないため、高い発電効率が期待される。当社グループは、九州大学と共同で、プロトン伝導SOFCと一つ目のアプローチで示した高効率化のためのシステム技術を組み合わせることで、発電効率80%超が実現できることをシミュレーションで確認している。現在は、システムの要求仕様を満たすプロトン伝導SOFCスタックを実現するため、高いプロトン伝導性かつ材料安定性を有したプロトン伝導性酸化物の研究開発に取り組んでいる。さらに将来には、一つ目の高効率化のためのシステム化技術にプロトン伝導SOFCを組み合わせる技術の実用化に取り組む予定である。

連携先

・ 三浦工業株式会社と共同で、5kW級の発電出力規模でAC発電効率65%の高効率な固体酸化物形燃料電池システムの開発
・ 九州大学と共同で、プロトン伝導性酸化物の開発、それを電解質材料に用いた多段酸化SOFCの開発

補足情報

詳細は、東京ガスのプレスリリースを参照。
・ 燃料電池の発電効率を65%相当まで高める高効率化技術を開発
https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20170523-01.html
・ 80%を超える“超高効率発電”に向けて
https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20150729-01.html
・ AC発電効率65%の高効率な固体酸化物形燃料電池システムの実証試験開始について
https://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20200304-02.html

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