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次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」用ハードカーボン開発による脱炭

JFEホールディングス株式会社

概要

【JFEケミカル株式会社】
JFEケミカル(株)は、JFEグループの化学事業分野の中核を担う化学会社として、95年より、JFEスチール(株)の製鉄工程で副生するコールタール由来のピッチを原料にリチウムイオン電池向け負極材を量産・販売しています。
JFEケミカル(株)では、これまでに蓄積した負極材の製造技術・ノウハウをもとに、世界で初めてコールタールピッチを原料としたハードカーボンの開発と量産に成功し、2014年から製造を開始しました。この製品は、結晶間の空隙構造を制御することで、黒鉛系負極と比較してハイブリッド車等に適したハイパワー・高寿命の特長を有しています。
19年4月には、次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」の製造及び販売を行うスタートアップ企業であるAPB株式会社(以下、「APB社」)への出資を行うとともに、膨張収縮が少なく全樹脂電池負極材材料に適したハードカーボンの製造・供給と、更なる高容量ハードカーボンの開発を通して、全樹脂電池の量産化に貢献して行きます。
全樹脂電池は、高エネルギー密度の実現、大幅な低コスト化、高い異常時信頼性の確保など、従来の蓄電池の課題を解決する画期的な電池であり、太陽光発電などの再生可能エネルギーの安定利用を促し、再エネ投資を飛躍的に加速させることが期待されます。JFEケミカル(株)は、この全樹脂電池の開発、製造をサポートしていくことで、脱炭素化社会の早期実現に貢献します。

説明

APB社の新型電池(全樹脂電池)の特徴と解決すべき課題は下記の通りです。

【特徴】
(1) 蓄電池を再生可能エネルギーと併用(定置型電池)
化石燃料を使用した火力発電量が減少し、CO2発生量を削減の効果が報告されています。全樹脂電池は、安全性が高い、耐久性が良い、大型電池の製造が可能、製造プロセスが簡略化できるなどの特長を有し、再生エネルギー発電の大規模導入により、脱炭素化を推進します。
(2) 全樹脂電池は、これまでのリチウムイオン電池と比較して、塗工後の乾燥工程が不要で、単純な積層構造で製造可能なため、製造工程の大幅な削減が可能です。
(3) 電池製造時のCO2削減。
電池の製造におけるCO2排出の半分(50%)は、電気の利用(消費電力)が要因です。消費電力のうち、アルミニウムが38%, セル製造が11%を占めています(下表参照)。全樹脂電池はアルミの集電箔を用いる代わりに樹脂集電体を使用しており、モジュール化された後のラミネートでのみアルミを使用、量は5%程度になります。(電力量減少 38%→1.9%)
現行LiBに比べてセルの製造プロセスが大幅に簡素化され、消費電力が削減されます。(消費電力は11%→8.8%減少)
合計で、消費電力を約40%削減できます(100→61.7%)。
電池製造に伴って発生するCO2発生量の約50%が電力消費のため、約20%のCO2削減効果が期待されます。

【課題】
(4) 今後解決すべき課題は、商業化に向けた量産技術の確立と大量生産の実現であり、APB社では世界初となる全樹脂電池の量産工場を福井県越前市に建設して、製品化を推進する計画です。

JFEケミカル(株)が生産・供給する全樹脂電池用ハードカーボンの特徴と解決すべき課題は下記の通りです。

【特徴】
(1) JFEケミカル(株)は、製鉄工程で副生するコールタール由来のピッチを原料にした
Liイオン電池向け負極材の製造技術・ノウハウに大きな強みを持っており、結晶間の空隙構造制御技術によるハードカーボンの実用化に初めて成功しました。
(2) コールタールピッチを原料としたハードカーボンは芳香族性が高く、高い真密度、高容量、かつ空隙にLiイオンを吸蔵するため充放電時の膨張収縮が少ない、
入出力特性が優れる等の特長を有しています。
これらのことから、全樹脂電池の製造にはハードカーボン負極材が不可欠です。

【課題】
(3) 全樹脂電池の今後の量産化に対応するため、全樹脂電池用ハードカーボン量産技術の開発。
(4) 高容量ハードカーボンの開発を進め、全樹脂電池の更なる高性能化を実現して、全樹脂電池の拡販を推進し、脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。

連携先

APB株式会社、三洋化成工業株式会社と協力・連携

補足情報

APB株式会社
https://apb.co.jp/#company

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