CO2有効利用技術開発
JFEホールディングス株式会社
概要
【JFEスチール(株)】
JFEスチール(株)は、NEDO ※1 のプロジェクト ※2 の一員として技術開発を進めてきました。
JFEスチール(株)とRITE ※3 では、メタネーション以外の有望なCCU技術の可能性を検討する目的で、CCU向け低コストCO2分離回収技術の検討および、回収技術とCO2排出源、有効利用(変換)技術の組み合わせにおいて最適なCO2変換技術のプロセスの概念設計を実施しています。
※1(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構
※2 次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2有効利用技術開発
※3(公財)地球環境産業技術研究機構
説明
JFEスチール(株)は、製鉄プロセスのCO2排出量を削減するために、高炉から発生するCO2を分離・回収して処理する技術開発を推進しています。環境調和型プロセス技術の開発/水素還元等プロセス技術の開発(COURSE50:鉄鉱石の水素還元、高炉ガスからのCO2分離回収など)プロジェクトの一環として、CCS(Carbon Capture and Storage:CO2の回収・貯蔵)に供する高炉ガス中のCO2を、物理吸着法により分離・回収する技術について、実用化開発を行ってきました。
近年では、高炉ガスから分離・回収したCO2を有価物に変換して有効利用(CCU:Carbon Capture and Utilization)するための研究開発に、国内鉄鋼メーカーの中ではいち早く取り組んでいます。JFEスチール(株)は、NEDOの「次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2有効利用技術開発」プロジェクトの一員としてCCUに関する研究開発を推進しており、RITEと共同で高炉ガス中のCO2を分離・回収し、そのCO2をメタノール(CH3OH)に合成する技術を推進しています。
このように、COURSE50の研究開発で培ったCO2分離・回収技術をCCUに活用し、「CCUに適した低コストCO2分離・回収技術」の開発、および効率的な「CO2変換技術」のプロセス設計などの研究開発を行っています。
プロジェクトの概要は以下の通りです。
・CO2分離回収技術:高純度CO2を必要としないCCUでは、回収純度低下により低コスト化が見込めるPSA法が有利です。
・CCU技術:ターゲット製品として、マーケットが大きく、化学品の出発原料となるメタノールを選択しました。メタノール製造では、平衡制約を超えて高反応率が得られる膜反応器を選択しました。
技術目標は以下の通りです。
・CCU適用時の省エネルギー化・低コスト化が見込まれるCO2変換・有効利用技術についての調査。
・CO2排出源、CO2回収から変換プロセスまでを考慮した省エネルギー型の全体最適化を図ったCCUプロセスの検討。
・選定した有望技術※に関して、小型試験による評価試験を行い、概念設計を実施。
※選定した有望技術:ここまでの検討により、CO2回収はPSA分離回収法を、変換プロセス(CCU技術):メタノール製造を選定しました。
・今後、解決すべき技術開発課題を抽出し、有望システムの実用化のための研究開発計画を策定して実施シナリオを明確にしていきます。
期待される効果は以下の通りです。
・メタノール1t当り2tのCO2削減。
・実用化のための研究開発を継続。製鉄所排ガス中CO2を原料としたCCUの実用化に向け、事業連携・枠組等も検討していく予定です。
連携先
RITE((公財)地球環境産業技術研究機構))