社会インフラの損失を防ぐマイクロデバイス
セイコーエプソン株式会社
概要
当社は2種類の主要なマイクロデバイスを開発し社会に提供している。
社会のさまざまなシステムと膨大なデータは、正確な時刻に同期させることが円滑な運用に不可欠である。当社のタイミングデバイスは高精度で高安定な周波数を発振する水晶振動子と、それを制御するリアルタイムクロックICで構成し、高速化が進みトラフィックが増大する通信分野でのエネルギー消費低減に貢献する。
水晶素材に超微細加工技術(MEMS)を施して独自の水晶デバイスを実現する「QMEMS」の技術を開発し、高精度かつ小型で消費電力が従来比1/2〜1/20となるセンシングデバイスの開発を進めている。社会インフラの維持のために高精度センサーの必要性が高まっており、ニーズの計測分野に最適なセンシングシステムをお届けすることで、社会インフラがスマート化する社会を牽引する。
説明
日常生活を支える金融、交通管理、電力制御、防犯、スポーツ等、様々な社会的システムでの通信速度高速化、トラフィックや接続機器の増加に伴い時刻精度向上のニーズが高まっている。端末装置自身が正確な時刻を保有し、さらに端末装置間の同期が社会的システムを成り立たせる点で重要となる。同期が取れないことにより、2050年には31.7ペタバイト(31.7×1015Byte)ものパケットロスが発生するとの予測があり、パケット再送に伴う電力消費が懸念される。
水晶振動子は発振周波数が温度変化するため補正が必要となる。また各端末機器での同期調整には、ソフトウエアの処理時間までも見込んだ時刻修正が必要となり、水晶振動子とICの双方の技術とその連動が重要となる。当社は高精度、高安定な周波数を発振する水晶振動子と、それを制御するリアルタイムクロックICの開発・設計・商品化、それらの最適なマッチング設計でワンパッケージ化したモジュールの提供を進めることで、社会的システムを支え、通信分野における省エネルギーやCO2排出量削減に貢献する。
近年ニーズの高まっている慣性計測、精密農業や建設機械、ドローン、機械予知保全、ADAS自動運転システム、ナビゲーションシステム等の姿勢や挙動の検知・制御、加速度計測:橋梁や高架軌道/道路などの社会インフラの劣化診断、大型構造物・大型機械等の傾斜計測、建築土木領域の振動特性計測による構造ヘルスモニタリング、工事中の周辺建造物への振動や傾斜のモニタリングや土留め箇所の傾斜モニタリング等の工事中の近隣監視、地すべりや土石流などの災害監視、高層ビルの階層別の被災度判定や、地震前後の変位計測を行うセンシングシステムを、QMEMSの技術と低消費電力の半導体技術の融合により、従来よりも1/2〜1/20の低消費電力で、精度の高いセンシングシステムを提供し、社会インフラのスマート化と損失予防に貢献する。
補足情報
通信、電力、交通、製造がスマート化する社会を牽引するマイクロデバイス
https://www.epson.jp/IR/library/integrated2019/strategy/microdevices.htm
エプソン テクニカルレポート、デジタルTCXO内蔵リアルタイムクロックモジュールの特徴
https://www5.epsondevice.com/ja/information/technical_info/pdf/wp_j130918_rtc.pdf
エプソン テクニカルレポート、秒未満時刻調整機能搭載エプソン製リアルタイムクロックモジュールの解説
https://www5.epsondevice.com/ja/information/technical_info/pdf/wp_j140515_rtc_high_precision.pdf