循環型な印刷構造の構築
セイコーエプソン株式会社
概要
独創のコアテクノロジーである、水を使わず使用済の紙から新たな紙を生み出す技術「ドライファイバーテクノロジー」を用いたオフィス乾式製紙機PaperLabを社会展開し、当社のインクジェットプリンターと組み合わせることで実現する環境配慮型オフィスを提言している。また目の前で紙を3分間で再生する驚きと再生紙の多様な活用事例は、環境教育や環境政策のシンボルとしての活用に大いに役立っている。
本技術は紙を原料としたさまざまな製品に応用でき、紙資源を無駄なく活用するので、社会課題としての要求が高い資源循環に応える展開が期待できる。
説明
企業におけるオフィスや地方自治体などから排出される使用済の古紙は、機密書類の安全な処分・リサイクルを行うために、外部業者に処分が委託されることが多い。その際の処理工程や輸送中では、機密管理の負担や大量の水を用いた処理・加工が必要になること、また輸送におけるCO2排出等の環境負荷が問題となる。
当社この問題の解決に着手し、使用済の紙を原料として、文書情報を完全に抹消し新たな紙を生産できる技術「ドライファイバーテクノロジー」を2016年に確立した。
一般的な製紙では大量の水が必要と言われているが、ドライファイバーテクノロジーは装置内部の湿度保持にわずかな水を使うのみである。
本技術は使用済の紙を繊維に戻す繊維化、結合素材で強度や色を調整する結合、加圧して成形する工程からなり、古紙を原料として機能を付加したリサイクル製品の生産も進めている。当社の最も大きなプリンター製造の拠点であるP.T. Indonesia Epson Industryで発生する排出物の12%はプリンターの印字検査工程において使用した紙であった。この使用済の紙をプリンターの吸収材の原料として使用するため、ドライファイバーテクノロジーを搭載した装置を導入した結果、古紙排出物を約25%削減できた。(2016年度実績)
当社は、「紙」から始める環境配慮型オフィスを提言している。これはインクジェットプリンターと乾式オフィス製紙機を導入することで、オフィスにおける紙資源の循環が実現し、一覧性や視認性といった紙の利便性を活かしながら、環境負荷を減らし、さらにはコストダウンやセキュリティ強化という経済価値も得ることができる、これからの社会に最適なオフィス形態である。
補足情報
紙に新たな価値を与え、循環型社会の実現に貢献
https://www.epson.jp/SR/environment/products/customers.htm#h2_03
製品紹介「PaperLab」
https://www.epson.jp/products/paperlab/?fwlink=productstop_21