オープンエネルギーシステムによる自然エネルギーの導入加速
ソニーグループ株式会社
概要
近年、太陽光や風力などの自然エネルギーが注目を集めていますが、薄く分散した自然エネルギーを有効利用するには課題もあります。株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所では、自然エネルギーをベースに超分散型でボトムアップにシステム構築可能な新しい電力システム「オープンエネルギーシステム (OES) 」の研究に取り組んでいます。OESは、自然エネルギーで発電した電気を蓄電池の活用を通して地域内にて有効に共有するシステムです。OESプロジェクトはSDGs17目標のうち7目標を直接のターゲットに含み、日本の外務省が推進するジャパンSDGsアクション・プラットフォームの企業によるSDGs取組事例に登録されています。
説明
自然エネルギーの導入を加速させるには、電力需要とは関係なく変動する自然エネルギーの発電量を吸収して無駄なく活用することが必要になります。そのために、我々は現在導入が進んでいる蓄電池に注目しました。太陽光発電と共に蓄電池を住宅に設置する場合、蓄電池の空き容量はそれぞれの住宅の電力消費のパターンによってばらつきが生じます。この空き容量のばらつきを、自然エネルギーの余剰電力と結びつけることで地域全体での自然エネルギーの消費を拡大できます。OESプロジェクトは、沖縄県から2013年度から2016年度まで亜熱帯・島しょ型エネルギー基盤技術研究補助事業、2017年度から2019年度まで先端技術活用によるエネルギー基盤研究事業の支援を受け、沖縄科学技術大学院大学 (OIST) と共同研究を行いました。OISTキャンパス内の教員住宅19棟に太陽光発電ならびに蓄電システムを設置し、各棟を直流 (DC) 線で相互接続した「DC-based OES (DCOES) 」を構築し、2014年度から2020年度まで住宅間での電力自動融通実証を実施してきました。2020年度には、研究の成果である中核モジュールの電力融通制御ソフトウェア「Autonomous Power Interchange System(APIS)」をオープンソース化し、無償提供を開始しました。更に2021年7月からは、徳島県三好市のワーケーション施設、ウマバ・スクールコテージを皮切りに交流網上で蓄電池・EVを連携させる新しい電力融通実証を、産学官一体の「環境配慮型ワーケーションモデル創出会議」というコンソーシアムのもと開始しております。
連携先
株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所
補足情報
オープンエネルギーシステム(OES)プロジェクト
https://www.sonycsl.co.jp/sp/287/
オープンエネルギーシステムの詳細情報
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr/eco/technology/oes.html
OESのOpen Source化
Autonomous Power Interchange System (APIS)
https://www.sonycsl.co.jp/tokyo/11481/
サステナビリティレポート2021:P132
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr/library/reports/SustainabilityReport2021_J.pdf