バイオジェット燃料製造設備商業化
千代田化工建設株式会社
概要
CO₂有効利用技術として、光合成によりCO₂を吸収するバイオマスの利用が考えられます。特に、日本も加盟する国際民間航空機関(ICAO)では2020年以降CO₂排出量を増やさないことが加盟国間で合意され、その手段としてバイオジェット燃料が注目を浴びています。
千代田化工建設株式会社は、2018年に株式会社ユーグレナが建設した日本発のバイオジェット・ディーゼル燃料設備実証プラントの設計・建設を担当しました。現在は、商業化に向けたスケールアップ化に取り組んでいます。
説明
国際民間航空機関では、2016年総会にて、2020年以降CO2排出量を増やさないことが加盟国間で合意され、その対策として有望視されているバイオジェット燃料の導入は、米国、EU主要国、カナダやオーストラリアのほか、シンガポール、タイ、中国やインドといったアジアの国々で進んでいます。一方日本では、バイオジェット燃料を使用した有償飛行は実現しておらず、世界主要国に対してバイオジェット燃料の導入は遅れているのが現状です。
このような背景において、株式会社ユーグレナは、2018年10月31日に横浜市において日本発のバイオ原料(ミドリムシ油脂や廃食油)からバイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料を製造する実証プラントを竣工しました。この実証プラントについて、千代田化工建設は、Chevron Lummus Global社のBIC(Biofuels IsoConversion) プロセスを用いて、設計および建設を行いました。本技術は、非可食植物油や微細藻類由来の油を原料とし、水熱処理と水素化処理により、ジェット燃料及びディーゼル燃料を製造するものです。
株式会社ユーグレナが製造するバイオジェット・ディーゼル燃料は、ミドリムシ油脂や廃食油などを主原料とすることで、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさず持続可能性に優れた燃料となることが期待されています。また、化石燃料を使用している既存のエンジンに問題なく適用可能であり、水素や電気といった代替エネルギーへの移行に必要とされる多大なインフラコストもかからないため、石油使用が多い現代社会において、既存インフラを維持しながら効率的に普及し、利用が拡大する可能性があります。
株式会社ユーグレナの目標は、2025年までに25万kL/年規模で経済性を有する商業生産体制を整えることであり、千代田化工建設は、技術支援として、実証設備のスケールアップの検討を行っています。
既存の化石燃料由来の燃料を、本技術で得られたバイオ燃料に置き換えることで、約80%(*1)のCO₂削減効果があるため、25万kL/年生産することにより、約50万ton/年のCO₂削減効果が期待できます。
連携先
株式会社ユーグレナ
補足情報
千代田化工建設ニュースリリース
https://www.chiyodacorp.com/media/181102.pdf
(*1) Applied Research Associates社HPより引用
https://www.ara.com/capabilities/advanced-biofuels-and-renewable-chemicals