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再生可能エネルギー蓄電用全固体電池の開発

三井金属鉱業株式会社

図1. 全固体LiBと液系LiBの温度特性比較

図2. シート型全固体電池の一例

概要

各国・地域でそれぞれの気候の特徴を生かした風力発電や太陽光発電の導入が進められています。気象条件など環境に左右されることなく高品質の電力を安定して使用するために、発電した電力を蓄電するシステムの構築が求められていますが、低高温の厳しい気候に晒される場合が多く、蓄電システムには高い耐環境性が必要です。また、自然エネルギーによる発電は発電量の急激な変化があり、蓄電池には高い入力(充電)特性も要求されます。
高エネルギー密度の蓄電池としてLiイオン二次電池(LiB)が使用されていますが、現行のLiBは有機電解液を使用しているため、とくに50~60℃以上の高温環境下においては充放電することができず、発火や爆発の恐れもあります。
一方で現在開発が進められている全固体Liイオン二次電池は、高イオン伝導率の固体電解質を使用すれば低高温環境下でも充放電可能で入出力特性も高く、爆発や発火の心配がない優れた電池として注目されています。
当社三井金属では、10-3S/cm台の高いLiイオン伝導率を有する硫化物系固体電解質を開発しています。この固体電解質に電気化学的物性と粉体特性がマッチした正極活物質と負極活物質を検討し、耐環境性と安全性および高入出力特性を兼ね備えた高エネルギー密度の全固体Liイオン二次電池を開発して、当該用途への適用を検討していきます。

説明

風力発電は地理的に風の強い北欧地域での導入が従来から盛んで、デンマークでは国内消費電力の43%以上(2017年)を風力発電で賄っています。太陽光発電は、日照時間が長いほど有利であることから世界陸地の1/3を占める砂漠地域でいくつものプロジェクトが進行しています。
しかし、これらの地域では、気温の夏季冬季と昼夜差が大きく、-20℃以下から50℃以上の環境でも動作する蓄電池が必要とされています。また、発電所から離れた地域や環境的に厳しい僻地および過疎地での電力使用は、送電ロスが大きくなることから、自然エネルギー等で発電した電力は蓄電池を介してその場で使用することが望まれます。
従来のLiBは有機電解液を使用しており、その沸点が60℃程度であることから高温での使用ができません。また、風力発電や太陽光発電は、風や雲の影響により発電量が大きく変動するので、蓄電池には入力(充電)特性に優れることが必要となりますが、有機電解液を使用したLiBは急速充電時のジュール熱や電極間のショートによって発火や爆発の危険性を有し安全性に問題があります。
当社三井金属では、従来のLiBの欠点を克服するため、耐環境性と高入出力特性および高安全性を有する全固体Liイオン二次電池向けの硫化物系固体電解質を開発しており、市場から高い評価を得ています。また当社は従来より、LiB向けの正極活物質と負極活物質を開発・製造しており、全固体電池向けにカスタマイズすることが可能です。
耐環境性を有する全固体電池は、2050年へ向けて普及が期待されるハイブリッド飛行機や電気飛行機等にも要求されます。このようなCO2削減に向けた耐環境性が必要な用途への展開を期待できます。
当社は1949年のマンガン電池用の電解二酸化マンガンの製造を皮切りに、Ni-Cd電池用酸化カドミウム粉(1958年~)、アルカリマンガン電池用亜鉛粉(1972年~)、Ni-MH電池用MH合金粉(1990年~)、LiB用LMO粉(2001年)等、電池材料事業を70年以上手掛けており、常に新たな材料・製品を開発してまいりました。これまでの開発チャンネルも活かし、再生可能エネルギー蓄電向け全固体電池の開発を進めていきます。

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