再エネの大量導入に向けた系統安定性の維持
電気事業連合会
概要
第5次エネルギー基本計画において、2050年に向けて、PV、風力などの再生可能エネルギーの主力電源化が掲げられた。基幹系統では、再エネ比率の増加に伴い、接続される火力等の同期発電機が減少し、系統慣性、短絡容量が低下することから、系統の運用・制御が難しくなる。一方、配電を含む負荷系統でも、分散型電源や蓄電池、EVなどが多数接続されることになると、系統内の不確実性が高まり、電圧電流制御が複雑化する。
電気事業連合会及び連携先各社では、これら事象が予想される将来においても、電力系統の安定性が維持できるよう、広域系統運用のための基盤的系統解析ツール、系統事故時の系統安定性を評価する系統シミュレータさらに瞬時値解析プログラムを用いた配電系統の動的挙動計算手法などの開発をすすめ、再エネの大量導入に資する取り組みを行っていく。
説明
【広域系統運用のための基盤的系統解析ツールの開発】
再エネ大量導入により,電力系統の潮流や運用計画の予見性が低下し、不確実性が増大することが懸念される。このため、電力中央研究所が開発した系統解析ツールにおいて、太陽光発電や風力発電に関わるモデルの拡充などを行い再エネ大量導入時の電力系統解析ツールとして発展させる。事前の系統解析により、各エリアの系統運用者と広域系統運用機関での系統計画・運用業務を円滑に行うことが可能となる。
【再エネ大量導入時における系統事故時の系統安定性の維持】
再エネが電力系統に大量導入された場合、系統事故時に様々な系統現象が生じ、系統安定性が損なわれる恐れがある。このため,電力中央研究所が開発し、長期に亘り活用している電力系統を詳細に模擬した系統シミュレータに再エネ大量導入時を想定した実機モデルを加え系統解析技術の高度化を図り、再エネが大量導入された場合の系統事故時の系統安定度維持技術を開発、検証していく。
【瞬時値解析プログラムを用いた配電系統の動的挙動計算手法の開発】
PVの普及に伴い配電線電圧上昇の問題が生じるため,配電系統の動的な挙動を考慮した解析による協調運用の検討が必要となる。このため,電力中央研究所ではパワエレ機器の波形レベルの挙動に加えて、回路的な過渡現象を考慮した電力系統瞬時値解析プログラムを開発してきた。さらにEV充放電システム、定置用蓄電池システム等のモデルを開発し、本プログラムに組み込むことにより、配電系統のスマート化に向けた、既存の装置と新規導入装置の協調運用や、新規導入装置同士の協調運用の検討が可能になるとともに、関連する各種異常現象、電力品質問題の解析も可能としていく。
連携先
北海道電力株式会社、東北電力株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、中部電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社、沖縄電力株式会社、電源開発株式会社、一般財団法人 電力中央研究所