電化・省エネ促進
電気事業連合会
概要
我が国の最終エネルギー消費のうち、電力が占める割合は1/4程度であり、残りの3/4程度は需要側での化石燃料の直接消費である。また、CO2排出量の内、その半分近くを産業部門・工業プロセスが占め、残り半分を家庭・業務の民生部門および運輸部門が占めている。よって社会全体のゼロエミッション化には、エネルギー源の低炭素化を進めるだけでなく、あらゆる部門での電化促進と省エネが必要である[1]。
電気事業連合会及び連携先各社では、これまで民生部門を中心に電化・省エネに取組み、低炭素化に貢献してきた。今後は、民生部門のより一層の電化・省エネの普及拡大に取り組むとともに、産業部門の電化・省エネを目指した技術開発を行う。さらに、様々な部門間の統合・連携(セクターカップリング)を視野に入れたエネルギーマネジメント技術などの基盤技術開発を行っていく。
説明
【職住環境の顧客便益とエネルギー消費評価・マネジメント基盤技術の開発】
民生分野の中でもエネルギー消費伸び率が大きい空調(暖房)分野では、職住環境の快適性などの顧客便益に配慮した上で、エネルギー消費を削減するエネルギーマネジメントが求められる。そこで、居住者の温冷感・健康指標を構築した上で、それに基づく空調等の暖房評価手法を確立する。さらに、空調使用による省エネ、CO2排出量削減効果と顧客便益が両立するデータを積み上げ、電化メリットを社会に向け効果的に発信していく。
【高性能ヒートポンプを核とする電化・省エネ推進技術の開発】
ヒートポンプの産業・業務部門への普及拡大においては、一層の高効率化と加熱適用範囲の拡大が課題である。そのため、無着霜ヒートポンプや高温出力時および低温採熱時の効率向上に寄与する新しい膨張エネルギー回収技術などを開発するとともに、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒(CO2や水等の自然冷媒含む)の適用性を明らかにし、ヒートポンプ加熱の適用範囲を拡大していく。さらに、産業分野の様々な生産プロセスにおける熱負荷とエネルギー・資源消費量の計測、エネルギーシステムの解析・評価などを行い、製品の品質向上とコスト削減に繋がるヒートポンプの統合的導入を目指す。
【エネルギーマネジメント・セクターカップリングの基盤技術開発と制度設計】
低炭素エネルギーシステムの実現には、セクターを横断したエネルギーマネジメントが有効である。そのため、需要家・街区~市区町村~都道府県全体などのマルチスケールのエリアでエネルギーマネジメント技術の評価手法を開発する。その評価手法をツール化し、人口動態を踏まえ、徹底的オール電化(EVなど)、分散資源普及(プロシューマー化)、ZEB化など様々なシナリオで、対象エリアの将来像や面的なエネルギー需要を解析可能な都市エネルギーシミュレータとして発展させる。また、スマートメーターや各種センサー(EVなど需要側リソース)などから得られる膨大なデータをエネルギーマネジメントに利活用する統計学的解析技術(AI、機械学習など)の研究開発を行う。
連携先
北海道電力株式会社、東北電力株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、中部電力株式会社、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、中国電力株式会社、四国電力株式会社、九州電力株式会社、沖縄電力株式会社、一般財団法人 電力中央研究所
補足情報
[1] 環境省 気候変動長期戦略懇談会 提言概要
http://www.env.go.jp/policy/kikouhendou/teigengaiyou.pdf