CO2を原料とするカーボンニュートラル燃料e-fuelの技術開発・社会
石油連盟
概要
大気中や工場等の排ガスから回収した二酸化炭素(CO2)と、CO2フリー水素を合成した液体燃料「e-fuel」は、消費段階で大気中のCO2を増加させない「カーボンニュートラル燃料」です。
現在のガソリン・ジェット燃料・軽油などと同等の品質になるようe-fuelを生産することで、自動車をはじめとする既存の石油利用機器や、全国各地を網羅する石油供給インフラを継続利用しながら、カーボンニュートラルへ移行できるという特徴を有しています。
石油業界では、合成燃料の官民協議会(2023年6月)で示された「2030年代前半までの商用化を目指す」という目標の実現に向け、e-fuelの高効率製造技術の開発や、早期の社会実装に取り組みます。
説明
1.合成燃料e-fuelについて
e-fuelは、大気等から回収した炭素(CO2)と、再生可能エネルギー由来の水素を原料とするため、消費段階で大気中のCO2を増加させることはなく、「カーボンニュートラル燃料」あるいは、炭素を循環利用するため「カーボンリサイクル燃料」として位置付けられています。
e-fuelは、既存の石油製品と同じ性状を目指して製造し、現在の石油製品と同様、ガソリン、ジェット燃料、軽油、石油化学原料などの様々な製品として供給することを想定しています。したがって、今の石油製品と同様に取り扱うことが可能であり、「可搬性」「貯蔵性」「高いエネルギー密度」という石油製品の特性は、e-fuelにもそのまま継承されます。
2.e-fuelの製造技術開発
e-fuelは、①非常に安定した物質であるCO2を水素と反応できるよう一酸化窒素(CO)に変換するプロセスと、②COガスと水素を目的の石油製品にまで連続的に合成するプロセスから構成されます。また、後者のプロセスについては、ガソリン・ジェット燃料・軽油・石油化学原料などの幅広い製品を製造できる方法(FT合成)と、メタノールを経由し主にガソリンを製造する方法(Methanol To Gasoline)が存在します。
こうした基本的な反応原理は、既に見出されていますが、大規模な商用生産のためには、各プロセスの「高効率化」が不可欠であり、現在、世界各地で様々な研究開発や実証試験が行われています。
わが国では、グリーンイノベーション基金を活用したFT合成法による高効率・大規模な合成燃料製造プロセスの開発(ENEOS)や、合成反応の原料である合成ガス(CO+H2)の高効率な製造技術の開発(NEDO)などの取り組みが進められています。
3.e-fuelの社会実装・商用化
e-fuelについては、自動車や航空機など、多方面から早期供給に向けた期待が寄せられていることから、石油業界としては、一日も早い商用化に向け、技術開発に積極的に取り組むとともに、国内生産に留まらず、わが国の企業が関与する海外プロジェクトからe-fuelを輸入し国内に社会実装(供給)していくことなども選択肢の一つとして検討していきます。
このように、石油業界では合成燃料e-fuelなどの革新的技術の研究開発と社会実装にも積極的に取り組むことで、事業活動に伴うCO2排出(Scope1+2)の実質ゼロ(CN)を目指すとともに、供給する製品に伴うCO2排出(Scope3)の実質ゼロ(CN)にもチャレンジすることで、わが国のカーボンニュートラル実現に貢献していきます。
連携先
ENEOS株式会社、NEDO(研究開発事業に大学・石油企業・研究機関などが参加)