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ペトロリオミクス技術による石油精製プロセスの革新的効率化

石油連盟

ペトロリオミクスの主な要素技術

ペトロリオミクス技術を用いた重質油の脱硫・分解プロセスの技術開発事例

概要

ペトロリオミクス技術は、原油や重質油を構成する数万~数百万種類以上の分子構造と組成を分析し、その結果を基に石油精製プロセスの革新的な効率化を実現するための基盤技術です。
これまで、重質油に関わる精製プロセスの開発、装置の運転条件の設定等は、重質油の詳細構造が不明なため、沸点などの一般性状や過去の経験知など、限られた情報をもとに進められてきました。
ペトロリオミクス技術開発がもたらす重質油の詳細情報は、石油精製プロセスの開発や運転改良において、革新的な「分子レベル」でのアプローチを実現します。その結果、原油からより多くの高付加価値品を生産すること、また精製設備の省エネ等が可能になります。
ペトロリオミクス技術は、石油製品の安定的・効率的供給と地球温暖化対策を引き続き同時達成していくために必要な革新的トランジション技術です。

説明

1. ペトロリオミクス技術について
ペトロリオミクス技術は、
① 石油分子の詳細な構造と組成を分析・解明する「詳細組成構造解析技術」
② 石油分子の反応性を解析・モデル化する「分子反応モデリング技術」
③ 詳細組成構造解析等で得られる膨大な情報をハンドリングするための「ペトロインフォマティクス」
という3つの主要技術で構成される、石油精製プロセスの更なる最適化・効率化を実現するための革新的基盤技術です。

原油や重質油は数万種以上の成分を含み、中でも重質油は分子構造や組成が極めて複雑なため、その詳細な構造や組成を把握することは困難でした。
ペトロリオミクス技術は、超高性能分析器(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR-MS))と、これに対応した分析技術、また得られた情報を体系的に取り扱う情報処理技術などを一体で開発することにより、重質油を「分子レベル」で取り扱うことを可能とし、石油精製プロセスの技術開発に新たな革新的アプローチをもたらします。2011年度から技術開発に着手しています。

2. 石油精製プロセスへの適用
ペトロリオミクス技術は、石油精製プロセスの開発や運転改良等に用いる「革新的基盤技術」であることから、実際のプロセスへの適用に関する技術開発の取組みも重要です。
これまで、ペトロリオミクス技術の開発と並行して、
① 重質油の脱硫や分解の効率化に関する技術開発、
② 超重質原油(従来の原油よりも重質油の割合が高く処理が困難な原油)の処理量拡大に関する技術開発
などへの適用に挑戦してきました。
石油精製では、大気環境保護を目的とした重油の硫黄分低減(脱硫)や、需要の減少が相対的に大きい重油をガソリン等に分解するプロセスにおいて、多量のエネルギーを必要とします。
こうしたプロセスに対し、ペトロリオミクスを活かした技術開発に取り組むことで、貴重な石油資源を徹底的に有効活用し、石油製品の製造や使用に伴う地球環境への負荷を更に低減することを追究していきます。

連携先

本技術開発は、経済産業省の支援により、石油エネルギー技術センターが中心となり、石油各社が連携して取組みを進めています。

補足情報

石油エネルギー技術センター
http://www.pecj.or.jp/

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