CO2電解還元法によるC2化合物製造技術の研究開発
古河電気工業株式会社
概要
COP21の合意を受けて、温室効果ガスであるCO₂の大幅な削減目標を達成し、エネルギー・環境分野の中長期的な課題を解決していくためには、既存技術の延長だけでは、不十分であり、従来の発想によらない革新的な技術の開発や新しいシステムの構築が求められている。再生可能エネルギーをはじめとする電力をエネルギー源としてCO₂を還元し、基礎化成品等の有用な物質に転換・再利用することは、CO₂削減の一つの方法として期待されている。しかし、従来の報告では、CO₂とH2Oを原料とした場合、C1-C3化合物を生成することができるカソード電極材として、唯一の単体として銅が知られているが、その反応機構については、未だ明らかとなっておらず、不明な点が多くある状況である。
説明
技術目標
再生可能エネルギーをはじめとする電力をエネルギー源としたCO₂とH2Oから基礎化成品(エチレンなどのC2化合物)を低温・低圧の条件下で、直接製造するシステムの開発を目指す。
- C2H4の生成選択率80%(@ファラデー効率基準)以上を有する触媒付加型電極の開発
- 触媒付加型電極を組み込んだCO2有効利用のシステム開発
- 2030年以降の実装化
カソード電極に多結晶銅を用いて、安定的にメタンを生成できることが知られているが、より付加価値の高いC2化合物を高い反応選択性で生成させるためには、触媒を付加した電極の開発が重要である。本研究開発では、弊社の銅材料及び表面処理技術を生かし、 C2化合物を高効率で生成できる銅ベースの電極材料開発を行う。プロジェクト全体では、CO₂有効利用のシステム全体の構築も目指す。
CO₂削減効果
既存法では、エチレン1ton当り約11ton相当のCO₂を排出するのに対し、火力発電由来の電力ならびに原料としてCO₂を組合せることで、約3ton相当のCO₂を削減(低炭素化)が期待できる。
また、再生可能エネルギー利用の電力を用いると、エチレン1ton当り、CO₂を排出せずに、逆に約3ton相当のCO₂をエチレンに固定化(脱炭素化)することができると試算。
2CO2 + 2H2O → C2H4 + 3O2
連携先
【平成30年度NEDOエネルギー・環境新技術先導研究プログラム 完了】
・研究開発体制:理化学研究所、千代田化工建設、共同実施
【ムーンショット型研究開発/資源循環 実施中】
・研究開発体制:東京大学、大阪大学、理化学研究所、宇部興産、
清水建設、千代田化工建設、共同実施