水素・アンモニアサプライチェーンの構築
株式会社JERA
概要
火力発電は日本の電力供給および調整電源として欠かせない一方、多量のCO2を排出する。このため、「パリ協定」の目標達成に向け、日本が定めた目標である温室効果ガス2030年26%削減、2050年80%削減を達成するためには、火力発電におけるCO2排出量削減が非常に重要である。そこで当社は、利用段階でCO2を排出せず、製造段階でのCO2回収もしくは、再エネ由来のCO2フリー水素を利用することで、火力発電の低炭素化を目指し、混焼の検討をしている。
説明
水素エネルギーは利用段階でCO2を排出せず、製造段階でのCO2回収もしくは、再エネ由来水素の利用により、脱炭素化に寄与できる。そのため、当社は、エネルギーの脱炭素化に向けた取り組みとして、水素エネルギーの導入可能性の検討を行っている。
特に水素エネルギーキャリアであるアンモニアは、燃焼時にCO2を排出せず、火力発電燃料として直接利用することが可能であるため、火力発電の低炭素化に向け有望な技術と考えている。
アンモニアは、大気圧下でも容易に液化するため、貯蔵性、輸送性が高く、また、肥料、工業原料等に幅広く使用されており、供給インフラに技術的な問題がないことから、早期に社会実装が可能と考えられており、当社はこれまで、アンモニアの火力発電所での直接混焼の可能性検討を内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」にて参画実施し、技術的な課題に対し検討を行ってきた。
火力発電でのアンモニアの混焼を実現するためには、消費側の検討だけでなく、製造・貯蔵・輸送といった一連のサプライチェーンが必要であるため、当社はその構築に取り組んでいく。
一方、CO2フリーアンモニアは化石燃料由来でCO2のオフセットが必要なブルーアンモニア、再エネ由来のグリーンアンモニアがあるが、化石燃料より高価となる価格面やブルーアンモニアの場合のカーボンオフセット手法の認証面での課題などが存在するため、サプライチェーンの構築とともに、社会実装に向けた課題解決について国と協調しながら検討していく。
また、水素についても、火力発電での利用も含めた消費等の検討を進めていく。
補足情報
火力発電設備におけるアンモニア混焼を目的としたNEDO委託業務への参画について
https://www.jera.co.jp/information/20200327_479