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冷却水補給水新水ゼロ化

栗田工業株式会社

図: 良質排水回収のシステムイメージ

概要

1. 実現したいこと
産業における冷却塔を有する冷却水系の補給水を全て良質の工程排水でまかなうことにより、新水製造及び工程排水処理から発生するCO2のゼロ化を実現する。

2. 方法
① 事業所の良質な工程排水を最小限の改質で冷却水系へ再利用する。良質排水の選定には、水回収の最適化手法である「水のピンチテクノロジー」技術を活用する。
② 冷却水系のパフォーマンスを更に発揮する目的で、濃縮管理、汚れ防止技術及び水回収量や水バランスなどの監視技術を適用し、併せて省人化を可能とする。
③ 工程排水から冷却水系までを視野に入れた、省人化を可能とするシステムを構築する。

  

説明

1. 背景
産業界では余熱冷却に、冷却塔を有する冷却水系(以下冷却水系)が広く適用されており、水循環による水の節約にも効果を発揮している。
その一方で、冷却塔からの蒸発量と循環による過剰濃縮防止のための排出水量、すなわち冷却水系への補給水量までは節約(節水)の対象となっていない。
この補給水量は、一般的な工場の取水量の5~20%を占めており、リスクが比較的小さい節水候補として有望である。既に一部の事業所においては総合排水や工程排水の補給水への再利用が実施されているが、水中の汚れ成分の影響で冷却効率が低下する事例も散見される。

2. 試算
30名以上の事業所における統計(経済産業省H26年工業統計表)では、冷却用水・温調用水量は約98,000千m3/日であり、その大部分が循環水(回収水)と推定される。
仮に、冷却水系の補給水量をその2%とすると、年間の新水使用量は98,000千m3/日×0.02×360日/年=705,600千m3/年(1)
ここで、新水量1m3当たりのCO2排出係数を0.36kgCO2とした場合のCO2発生量(削減ポテンシャル)は 705,600千m3/年×0.36kgCO2/m3=254,000tCO2/年(2) と推定される。

3.チャレンジ内容
1) 冷却水系補給水への新水使用量のゼロ化
事業所内の工程排水から良質排水を選定し、最小限の改質により冷却塔補給水への再利用を実現する。これにより、冷却水系への新水製造に伴うCO2及び、それに相当する工程排水処理のCO2をゼロに抑える。
良質排水の選定には、水回収の最適化手法である「水のピンチテクノロジー」を活用し、改質エネルギーを最小限に抑えつつ、排水再利用に伴う汚れのリスクを軽減する。

2) 冷却水系(冷却塔、熱交換器)における汚れ防止対策の実施
冷却水系の濃縮管理、汚れ防止技術及び水回収量や水バランスなどの監視技術の適用により、冷却水系のパフォーマンスを新水使用時以上に向上することで、事業所の生産性向上に貢献する。同時に、工程排水から冷却水系までを網羅したシステムを構築し、水回収や水処理に関わる手間の軽減(省人化)を実現する。

  

補足情報

栗田工業ホームページ

https://kcr.kurita.co.jp/challenge-zero

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