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SiCデバイスを活用したパワーエレクトロニクス機器の省エネ技術

三菱電機株式会社

図1. 三菱電機のSiCパワーエレクトロニクス機器

図2. 高周波スイッチングによるモータ損失低減

図3. フルSiCモジュール適用による1500V架線対応 - 鉄道車両用推進制御装置の省エネ効果

概要

インバータの実用化に伴い、パワーエレクトロニクスは民生から産業、自動車、鉄道、電力まで広範な分野での省エネルギーに貢献しています。SiC(Silicon Carbide)デバイスは、Siデバイスの限界をはるかに超えた性能を実現することができ、パワーエレクトロニクス機器をさらに進化させるキーデバイスとして期待されています。三菱電機は2010年以降、SiCを適用したエアコンや鉄道車両用推進制御装置などを市場投入し、省エネを実現しています。
鉄道車両用の推進制御装置では、SiC-MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を適用することによって、主回路システムの主要な消費電力損失である空気ブレーキとモータの損失を大幅に低減し、主回路システム全体として、約40%の省エネを実証しました。
三菱電機はSiCデバイスを活用したパワーエレクトロニクス機器の更なる普及拡大に向けて、小型・軽量化、高性能化や様々なシステムに対応できる機器開発を進めてまいります。

説明

鉄道車両用推進制御装置におけるSiCデバイス活用の省エネ効果
SiCデバイスはスイッチング性能が優れているため、高周波スイッチングによりモータ損失の低減が可能です。図2に示すように、SiCデバイスは、高周波のスイッチング動作が可能となり、高調波の少ないモータ電流が得られます。この結果、モータ損失が低減します。
さらには、電力回生ブレーキ領域を高速域に拡大することで、空気ブレーキによる損失を低減できます。回生トルクを拡大するためには、モータ電流を増加させる必要があり、インバータ損失が増大する課題がありました。SiCデバイスの低損失性能を活用することにより、インバータ損失の増大を抑え回生ブレーキ領域を拡大することができました。
2014年には、3.3kV SiC-MOSFETを適用した直流1500V架線対応の鉄道車両用インバータが、営業運転に投入されました。この実証試験により、主回路システム全体として従来比約40%の省エネ効果を実証しました(図3)。
なお、本開発の一部は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の委託を受けて実施しました。

補足情報

1. 三菱電機の技術情報誌「三菱電機技報」に掲載の関連情報は以下の通りです。
https://www.giho.mitsubishielectric.co.jp/giho/pdf/2017/1712106.pdf

2. 三菱電機の関連するニュースリリースは以下の通りです。
(1)http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2013/1225.html
(2)http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2014/0430.html
(3)http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2015/0622-a.html
(4)http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2015/0625.html

3. NEDOの関連するニュースリリースです。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100404.html

4. 弊社「半導体・デバイス事業本部」の環境への取組については下記のオフィシャルサイトをご参照ください。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/csr/management/
social_contributions/semiconductor/index.html

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