電動車を活用したバーチャルパワープラント（VPP）の構築

三菱自動車工業株式会社

図1. 実証サイトのイメージ（一例）

概要

三菱自動車工業株式会社は、2018年度より5社と共同で需要家側エネルギーリソースを活用したVPP構築の実証事業を行っています。
近年、太陽光発電などの再生可能エネルギーによる出力変動や余剰電力の発生など電力系統の安定運用に影響を及ぼす課題が顕在化しつつある中、継続的な再生可能エネルギー導入と電力系統安定化を低コストで両立する新たな仕組みとして、VPPの構築が進められています。
本実証事業では、EV（電気自動車）/PHEV（プラグインハイブリッド車）などの電動車をVPPのリソースとして活用することで、継続的な再エネの導入と電力系統安定化の両立を目指します。なお、三菱自動車では、2021年度以降、電力系統と電動車の蓄電池との双方向間で電力需給調整を行うV2G（Vehicle to Grid）事業のビジネスモデルを構築し、事業化を検討します。

説明

三菱自動車工業株式会社は、東京電力ホールディングス株式会社、東京電力エナジーパートナー株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社日立システムズパワーサービス、静岡ガス株式会社の5社と共同で、2018および2019年度に国内で実証事業を行いました。電動車と電力系統の間で双方向の電力融通を実現する実証環境を構築するとともに、実証サイトに駐車している電動車をオンラインシステム上で同時制御し、電力系統安定化に寄与するVPPの有効性を確認しました。

VPPは、太陽光発電設備、蓄電池などの分散するエネルギーリソースをネットワークでつなぎ、あたかも１つの発電所のように機能させる仕組みです。その中の一つであるV2Gは、電動車などの車載電池を活用し、充電に加えて、蓄電した電力を電力系統に供給する技術です。

太陽光発電などの再生可能エネルギー（再エネ）が急速に導入された結果、再エネによる出力変動や余剰電力の発生といった、電力系統の安定運用に影響を及ぼす様々な課題が顕在化しつつあります。電力系統の安定化のためには、継続的な再エネ導入と電力系統安定化を低コストで両立させる新たな社会的な仕組みとしてVPPの構築が期待されています。

本実証事業では、V2Gに対応した充放電器を実証サイトに導入して、電動車と電力系統の間で双方向の電力融通を実現する国内最大規模の実証環境を構築しました。検証を行い、電力系統安定化に寄与する有効性を確認しました。

具体的な実証の一例として、実証サイトに、電動車および電動車用充放電器を集中して配置した充放電ステーションを構築した上で、構内の高圧線路を仮想配電線として想定し、電力系統安定化に向けた制御検証を行いました。また、実証サイトに駐車している電動車をオンラインシステム上で同時制御し、課題を抽出しました。

今後も電動車を蓄電池として有効活用することで、再エネの導入を促進し、エネルギー・環境問題の解決に繋げるべく、V2Gを社会で機能させるためのビジネスモデルの構築に取り組みます。

連携先

東京電力ホールディングス株式会社、東京電力エナジーパートナー株式会社、東京電力パワーグリッド株式会社、株式会社日立システムズパワーサービス、静岡ガス株式会社

補足情報

■ 三菱自動車プレスリリース 2019/6/3
電気自動車をバーチャルパワープラントのリソースとして活用するV2G実証事業を開始
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsrelease/2019/detail5327.html
■ 三菱自動車プレスリリース 2019/2/26
V2Gアグリゲーター事業の実現を目指す実証試験を実施
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsrelease/2019/detail5283.html
■ 三菱自動車プレスリリース 2018/6/6
電気自動車をバーチャルパワープラントのリソースとして活用するV2G実証事業を開始
https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsrelease/2018/detail5212.html