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水素還元製鉄技術等による『ゼロカーボン・スチール』の実現

一般社団法人日本鉄鋼連盟

概要

日本の鉄鋼業は、2030年頃までの実用化に向けて、COURSE50 やフェロコークスなどの革新的高炉法製鉄技術の開発を続けており、高炉一貫製鉄所からのCO2排出量の約30%削減が期待されている。本取り組みでは、それらを超えてCO2排出ゼロで鉄鋼製造を行う『ゼロカーボン・スチール』の実現に向けた超革新技術開発にチャレンジする。具体的には、次のステップとして高炉での水素還元比率をさらに上げるSuper COURSE50、さらには100%水素還元による水素還元製鉄にチャレンジする。また、CCU、CCS技術開発も並行して進める。

説明

日本鉄鋼連盟は2018年11月、「日本鉄鋼連盟長期温暖化対策ビジョン『ゼロカーボン・スチールへの挑戦』」を策定した。将来の世界の鉄鋼需給想定、世界鉄鋼業の長期温暖化対策シナリオ、そして日本鉄鋼連盟の長期温暖化対策の3つで構成されており、最終的に新たな鉄をCO2排出ゼロで製造するゼロカーボン・スチール実現に向けたチャレンジの道筋を示した。
図1にゼロカーボン・スチール実現に向けた超革新技術開発のロードマップを示す。本取り組みでは、ゼロカーボン・スチールを実現するための水素還元製鉄技術と、製鉄プロセスで発生するCO2を分離回収し貯留するCCS(Carbon Capture and Sequestration)と、CO2を原料とし有価物を生成するCCU(Carbon Capture and Utilization)を開発する。

水素還元製鉄では、第一ステップとして、所内で発生する水素(COG:コークス炉ガス)利用による高炉内の水素還元比率アップと高炉排ガスからのCO2分離技術を柱とするCOURSE50プロジェクトを推進している。第二ステップとして、この知見を足掛かりに、外部水素も利用することによる高炉におけるさらなる水素還元比率アップにチャレンジする。ここでは、水素還元による吸熱反応に対応する技術が求められる。第三ステップとして、水素のみを完全還元材として利用する水素還元製鉄に挑戦する。ここでは、高炉の利用は困難と考えられ、新たな反応炉が必要となる。2050年を目途に、これらの超革新技術の開発を目指す。

CCSおよびCCUでは、高炉排出ガスからの低エネルギー消費CO2分離回収技術の開発、高炉一貫製鉄所で実現可能なCCU技術の探索および開発に挑戦していく。
CCS実施に当たっては、大量のCO2の安価輸送・貯留技術の開発に加え、CO2貯留場所の確保や社会受容性、実施主体や経済的負担の在り方など、技術面を超えた課題の解決が必要となる。
また、水素還元製鉄に利用される水素は、製鉄のみならず自動車や民生など様々なセクターで広く利用されることから、社会共通基盤のエネルギーキャリアとして開発、整備されていることが前提となる。特に基礎素材である鉄鋼の製造に利用される水素は、カーボンフリーであることはもとより、多量安価安定供給も重要な要件となる。

このように、ゼロカーボン・スチールの実現は、鉄鋼業のみの取り組みでは完遂できないことから、政府や産業界と連携して取り組んでいく所存である。

連携先

一般財団法人 金属系材料研究開発センター(JRCM)
日本製鉄株式会社
JFEスチール株式会社
株式会社神戸製鋼所

補足情報

日本鉄鋼連盟 長期温暖化対策ビジョンの策定について
https://www.jisf.or.jp/news/topics/181119.html

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