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LNGバンカリングの普及拡大による海上運輸のCO2削減の取組

一般社団法人日本ガス協会

概要

都市ガス業界は、短中期的には天然ガスシフトや天然ガスの高度利用等の需要側の低炭素化の取組みを進めることにより、日本の温暖化対策や長期エネルギー需給見通しにおける2030年の目標達成等に貢献していく。また中長期的には、メタネーション技術等のイノベーションによる更なる低炭素化・脱炭素化にチャレンジしていく。

都市ガス業界では海上運輸の環境負荷の低減に向けてもLNGバンカリング(船舶燃料としてLNG(液化天然ガス)を供給すること)に取り組んでいる。2020年からIMO(国際海事機関)による船舶排出ガスのSOx規制が強化され、また今後温室効果ガス削減対策が進む見通しであることから、SOxだけでなくCO2の削減にも寄与するLNG燃料船に注目が集まっている。都市ガス事業者は各地のLNG受入基地のLNG出荷設備や、これまで培ってきたLNGハンドリング技術を船舶用LNG燃料供給事業にも活用し、海上運輸における温室効果ガス削減に貢献していく。

説明

国際海事機関(IMO)は、船舶の排出ガスについて2020年から全海域を対象としてSOxに関する規制を強化しており、またGHG削減についても短期、中期、長期と区分した上でそれぞれ目標を設定し、その対策を進める見通しである。このような海上運輸における規制強化等を背景として、LNG(液化天然ガス)を燃料とした船舶の導入やLNGを供給する拠点(LNGバンカリング拠点)の形成の動きが国内外で広がっている。

都市ガス業界においては、保有する各地のLNG受入基地のLNG出荷設備やLNGのハンドリング技術を活用し、LNGバンカリング拠点の整備を進めている。例えば東京ガス(株)は横浜港、大阪ガス(株)は堺泉北港や神戸港、東邦ガス(株)は名古屋港、西部ガス(株)は北九州港など、各地でLNGバンカリングシステムの整備や効率化・安全性の確認・向上など、船舶向けLNG燃料供給事業の拡大に向けて取り組んでいる。

LNGを船舶に供給するバンカリング手法として、以下の3つの手法が挙げられる。日本において現状は①が中心に実施されているが、将来的な大型のLNG燃料船への燃料供給等の規模の拡大や利便性の向上に向けて、②や③によるLNGバンカリング拠点の形成を段階的に進めていく計画もある。このような中においても都市ガス業界は引き続き安全、かつ効率的なLNGバンカリングの実現に取り組んでいく。

① Truck to Shipバンカリング方式
岸壁に係留中のLNG燃料船に対して、岸壁に駐車したLNGタンクローリーからLNGを供給する手法。初期投資が少なく、小型船への燃料供給に適切。

② Shore to Shipバンカリング方式
岸壁・桟橋に係留中のLNG燃料船に対して、陸上LNGターミナルなどからLNGを供給する手法。大型船への燃料供給が可能。

③ Ship to Shipバンカリング方式
岸壁に係留中もしくは錨地に停泊中のLNG燃料船に対して、LNGバンカリング船が接舷してLNGを供給する手法。大型船への燃料供給が可能。

このようにLNGバンカリングを通じた天然ガスの普及拡大を通じて、都市ガス業界は海上海運における温室効果ガス削減に積極的に貢献していく。

連携先

各都市ガス会社のLNGバンカリング事業における連携先等については各社のHP等を御参照下さい。

補足情報

・横浜港LNGバンカリング拠点整備方策検討会とりまとめ
https://www.mlit.go.jp/common/001174840.pdf
・日本ガス協会 温暖化対策の長期ビジョン(都市ガス・天然ガスを活用した長期地球温暖化対策への貢献の絵姿)
https://www.gas.or.jp/kouken/

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