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急速充放電できる革新的な新型二次電池を活用した省エネの実現

凸版印刷株式会社

概要

当社が独自開発した専用電極を用い、エクセルギー社とともに、次世代二次電池である「エクセルギー電池」を開発。
同電池は、一般的な二次電池の約100倍となる200C(*1)以上の急速充放電が可能であり、一般的な二次電池では実現が困難だった高出力の回生電力の充電をクレーン等の重機に活用することが可能となる。このように回生電力活用により、従来常用電源からの電力供給を削減することで大幅な省エネ効果が見込まれる。

(*1)C … 充放電レートの単位。1Cは60分で満充放電できる電流値を示す。本電池の場合、60分/200C=18秒で完全充放電が可能

説明

世界的なモバイル需要の拡大に伴い、小型・薄型でエネルギー密度の高いリチウムイオン電池を中心に二次電池市場が急速に伸長する中、25年には9兆円を超えると推測されている。さらに電気自動車など環境対応向けの需要が急拡大している。
車載向けでは、パワーと出力時間を兼ね備えたニッケル水素電池やリチウムイオン電池などが主流となっており、フォークリフトなどの重機は、充電時間がおよそ8時間程度かかることから稼働率を上げるために数台用意する必要がある。また、従来の二次電池は電池内部の放熱に時間がかかるため、温度上昇による電池の劣化についても課題がある。
エクセルギー社は、2011年に設立された東京大学発のベンチャー企業で、水素を活用した蓄電池や燃料電池の開発・製造・提供を行っている。当社はエクセルギー社が設立された2011年より、これらの課題を解決する手段として、エクセルギー社とエクセルギー電池の共同開発ならびに事業化に向けや実証を推進してきた。その結果、連続的に急速充放電が可能で耐久性の高い次世代二次電池の開発に目処が立ったため、5億円の増資による資本提携を行い、共同で事業化を進めていくこととなっている。

(エクセルギー電池の特徴)
・ 急速充放電が可能
電池内部で発生した熱を急速に放熱し、上昇温度を5度以内に抑える独自の電池構造を開発したことにより、一般的な二次電池の100倍となる200C以上の連続的な急速充放電を実現。

・ 高い耐久性
電池内部に水素を封入し、酸化による電極の劣化を抑えたことで耐久性を大幅に向上。一般的な二次電池の10倍となる、ハイレート時連続50C充放電のサイクル寿命15万回以上を実現。

・ フローティング充電が可能
電池起電圧を充電電圧で設定できるため、制御装置がない場合でも過充電することなくフローティング充電が可能となり、バックアップなど無停電電源装置としても展開が可能。

・ 安全材料を使用
構成材料にリチウムや有機材料を使用していないため、二次電池の安全性試験の一つである釘刺し試験(*2)が不要。
(*2)釘刺し試験 … 電池に釘を貫通させ、電池が発火、破裂しないことを確認するもの

・ 重電の省エネ、稼働率向上に貢献
クレーンなどは回生電力を活用することにより、消費電力を大幅に削減可能。また、急速充電により充電待機時間が大幅に短縮、重機一台あたりの稼働率向上に貢献。

(当社が独自開発した電極について)
凸版印刷の材料設計ノウハウとコーティング技術により開発。具体的には、印刷技術を応用し、電極材料である独自開発の導電性インキでニッケル系素材をコーティングしており、正極/負極/セパレーターを積層することで電池セルを形成している。

連携先

エクセルギー・パワーシステムズ社、株式会社EP

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