再エネ導入に向けた諸課題への対応
東京電力ホールディングス株式会社
概要
2018年7月3日に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」において、2030年に向けた重要な施策の一つとして再生可能エネルギーの主力電源化へ向けた取り組みが掲げられています。一方、再生可能エネルギーを中心とした分散型電源の導入が進み、相対的に火力・原子力等の集中型電源の発電出力が減少すると、将来的に電力系統は瞬間的な需給の変動に耐えられなくなる恐れがあります。東京電力パワーグリッド株式会社(以下、当社)は、安定的に電気をお届けする中立・公平な送配電ネットワーク事業者としての責任を持続的に果たしていくとともに、分散型電源の系統への連系にともなう諸課題に取り組んでまいります。
説明
再生可能エネルギー導入拡大に向けた諸課題に対し、以下の取り組みを行っております。
● 送電容量不足問題
再生可能エネルギーからの潮流増大により、一部の送電線の容量が不足しており、容量不足解消のためには送電線増強工事が必要となっております。当社は、電源接続案件募集プロセスの実施を通じ、送電線増強工事実施に向け取り組んでおります。
● 電圧上昇問題
太陽光発電の導入拡大に伴い、電力系統に電気が逆潮流した場合、電圧が上昇し、適正電圧範囲(95V~107V)を逸脱する恐れがあります。当社は、柱上変圧器の分割配置や自動電圧調整器(SVR)の設置を進めることで、電圧上昇を抑えるための取り組みを行っております。
● 周波数調整力不足問題
電気は貯蔵することが出来ないため、発電量と消費量を常に一致させる必要があります。再生可能エネルギーは、出力数が気象条件によって大きく変動するため、電力の重要な品質の1つである周波数を調整する必要があり、再生可能エネルギーのさらなる導入がすすんだ場合には、出力の抑制・制御、蓄電池の活用等の対策を講じる必要があります。当社は、火力・水力等の周波数調整力の確保や、再生可能エネルギー・蓄電池等の最適制御に向けた実証試験に取り組んでおります。
● 需給バランス・余剰電力問題
太陽光・風力発電が大量導入された場合、電力需要の少ない時期に、ベース供給力に太陽光・風力の出力を加えた供給力が需要を上回り、電力の余剰が発生する可能性があります。これを解消するためには、余剰電力を揚水で吸収したり、太陽光・風力発電の出力を抑制することで、需給バランスを維持する必要があります。当社は、再生可能エネルギーの抑制システムの開発や予測精度向上を、国家プロジェクト等のスキームを通じて推進しております。
連携先
東京電力パワーグリッド株式会社
補足情報
●「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発事業」の実施について(2019年6月25日プレスリリース)
http://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2019/1515546_8614.html
●母島における再生可能エネルギー100%電力供給に向けた協定締結について
(2018年12月21日プレスリリース)
http://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2018/1511826_8687.html