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人工光合成(CO2の固定化と利用に関する新技術開発)

出光興産株式会社

概要

人工光合成は、植物が太陽光を利用し、CO2と水から糖などを作るように、人工的にCO2と水から有用物質を作る技術である。
我々は、太陽光などの再生可能エネルギーを用いて、CO2と水から合成ガス(H2とCO)や炭化水素などの有用物質を生成する技術に取り組んでいる。これまでに、独自開発した触媒を使ったガス拡散電極を用いて、CO2と水からメタン等の炭化水素を直接合成することに成功している。従来CO2をいったん水に溶かした状態で反応させる方式が多かった中、CO2をガスのまま直接反応させることができるガス拡散電極を採用したことが特徴である。このガス拡散電極を用いた人工光合成技術において、電極触媒の高性能化・低コスト化・長寿命化などにより、CO2処理能力をさらに高める開発を進めている。このようなガス拡散電極を用いた人工光合成の研究を進め、2030年までにCO2から高効率に合成ガスや炭化水素などの有用物質を製造する技術を確立することで、CO2の再利用による持続可能な社会の実現に貢献する。

説明

1.本研究に取組む背景
CO2の排出量を抑える方法として、再生可能エネルギーを利用しCO2を炭化水素などの有用物質へ変換する技術の実現が期待されているが、CO2は物質的に安定しており炭化水素などに変換するのは困難である。日本は近年、太陽光をエネルギー源とする人工光合成技術によってCO2を有用物質に変換する研究で世界を牽引しているが、多くの研究機関ではこれまでCO2をいったん水に溶かした上で変換する方式を採用しており、原料となるCO2の供給量が水に対する溶解度により制限され、処理能力を上げることが難しいという課題があった。

2.本研究開発の特徴と成果
燃料電池等で使用されているガス拡散電極を人工光合成に用い、気体のCO2を直接還元して炭化水素を得ることに成功した。CO2が反応する電極には独自に開発した触媒を使った「ガス拡散電極」を用い、「光陽極」には半導体光触媒とソーラーフロンティア(株)製CIS薄膜太陽電池との積層構造を利用した電極を用いて、疑似太陽光の照射下、メタンを太陽光エネルギー変換効率0.61%、エチレンを同0.1%で合成することに成功した。すなわち、炭化水素への太陽光エネルギー変換効率は0.71%となり、自然界の植物の光合成と同レベルまで高めることが出来た。本技術は気体のCO2を直接利用できるため処理能力を上げ易く、実用化に有利であるが、一方で、太陽光だけでは稼働が日中に限定され天候の影響も受けるため、現在は、再生可能エネルギー由来の外部電力により、長期連続運転可能なシステムを実現する技術を開発中である。

3.今後の技術開発目標・スケジュール
当社はこのガス拡散電極を用いた人工光合成の研究を進め、2030年までにCO2から高効率で合成ガスや炭化水素等の有用物を製造する技術を確立することで、CO2の再利用による持続可能な社会の実現に貢献する。技術開発として、電極触媒に関して高性能化・低コスト化・長寿命化などを進めて、CO2処理能力を高めること及び実装に向けたシステムの低コスト化を図る。

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