家庭で生まれた「環境価値」を地域に循環 ~再エネ主力電源化に資する「環境価値」取引技術・スキームの向上~
株式会社エナリス
概要
エナリスは、再生可能エネルギー主力電源化社会の実現に向けて、一般家庭の太陽光発電(PV)が生み出す「環境価値」が十分に有効活用されていない実態を踏まえ、湘南電力、小田原市、ゼロボードとともに、PV自家消費環境価値を地域経済の活性化に活かす取り組みにチャレンジしています。
具体的には、一般家庭の屋根に取り付けたPVの自家消費によって生まれた再生可能エネルギーの「環境価値」を計測し、「環境価値」を活用したいと考える企業等に移転させて二酸化炭素のオフセットを実現させます。今後は、エナリスが独自で開発したブロックチェーン技術(※1)を導入し、「我が家の環境価値を大好きな地元の〇〇商店へ」と相手が見える形で地域と家庭をつなぎながら、再エネ自家消費と二酸化炭素オフセットの促進、経済活性化の循環を実現させるという検証を行っていきます。
※1:取引履歴をブロックに格納。直前のブロックとハッシュ値でつながっているため、データ改ざんが困難な分散型台帳技術
説明
■目標
再生可能エネルギー主力電源化社会の実現に資する電力および環境価値の取引技術および仕組みを確立する。
■背景と具体的なアクション
【背景】
エナリスは、2020年7月から東京都「令和2年度 次世代電力システムにおけるP2P電力取引(※1)プラットフォーム構築実証事業」に参加し、自社で開発したP2P電力取引の仕組みを活用して「環境価値」を含む卒FIT電力取引のビジネスモデルの実現性を検証しました。その結果、ブロックチェーンによるトラッキング技術で売り手と買い手の双方を可視化することで、買い手には本業への集客・宣伝効果が生じ、売り手には追加的なインセンティブ(「環境価値」への対価)に加え、企業を応援する手段が増えるといった付加価値が生じることがわかりました。このような結果から、ブロックチェーン技術を活用したP2P電力取引は、「環境価値」を重要視する企業や地域貢献性の高い地域新電力などとの相性が良いことが見えてきました。
そこで2021年9月からは、「環境価値」の取引モデル実証の場を小田原市近郊に移し、約150世帯と8飲食店にご協力いただいて、限りなく実ビジネスに近い環境下で、小田原市の脱炭素化促進に対する効果などを検証しています。
※1:電力の売り手と買い手を直接ひも付ける取引
【具体的なアクション】
エナリスは2021年9月より、小田原市、湘南電力株式会社、株式会社ゼロボードとともに、「小田原市におけるCO₂排出量及び環境価値の可視化並びに価値化の試行に関する協定」を締結し、再生可能エネルギーの自家消費相当分が生む「環境価値」を活用し、市民や地域の飲食店等の活動の脱炭素化を促進する取り組みを始めています。
具体的には、神奈川県で自宅の屋根に太陽光パネルを設置した約150世帯が自家消費した「環境価値」を、地域の飲食店など8店舗に電力のカーボンオフセットメニューとして提供。8店舗は「環境価値」を提供した世帯に対して、対価としてクーポン券を提供します。
太陽光パネルの設置サービスや電力メニューの提供、両者の調整は湘南電力が担い、ゼロボードは独自で開発したシステムを使って飲食店のCO₂排出の見える化を担当。小田原市は「環境価値」の最適配置による再生可能エネルギー導入拡大および経済活性化につながる行動変容の検証を行います。
エナリスは、ブロックチェーン技術を活用して、「誰が生み出した環境価値」が「どのお店に使われたか」といった環境価値の産地情報の紐づけを行っていく予定です。これにより、再生可能エネルギー拡大や経済活性化につながる行動変容の促進への貢献を目指します。
■チャレンジが実現した場合の成果
✔「環境価値」の可視化により、「環境価値」を生み出す側の創出モチベーションの向上
✔「環境価値」の可視化により、「環境価値」の最適配置の実現と取引活性化
✔クーポン還元など新しい仕組みと組み合わせることで、地域経済の活性化
連携先
補足情報
具体的な取組については当社発行のプレスリリースをご参照ください
https://www.eneres.co.jp/news/20210927.html
https://www.eneres.co.jp/news/sus20210205.html