人工光合成技術
株式会社INPEX
概要
再生可能でクリーンなエネルギー資源として、近年水素への注目が集まっています。水素は燃焼時に水しか生成しないクリーンなエネルギー源であり、また、地球温暖化の主要因とされているCO₂を反応させることにより、炭化水素燃料や化学品原料も作ることができるため、究極の再生可能エネルギー資源として期待されています。当社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が委託する「人工光合成化学プロセス技術研究組合」に参加し、太陽エネルギーを利用して光触媒によって水を分解し、分離して得られた水素とCO₂からプラスチック原料等基幹化学品の製造を目指す研究開発プロジェクトに取り組んでいます。
説明
近年、地球温暖化が懸念され、輸入に頼る石油の価格変動や枯渇リスクに直面する中、化学品製造における革新的イノベーションの実現により、こうした課題を乗り越えていくことが急務になっています。将来的に化石資源の供給リスクを克服し、かつ、持続可能な低炭素社会を実現していくためには、太陽エネルギー等の非化石エネルギーを活用し、化石資源に頼らない水素の製造技術やCO₂を炭素源とする化学品の製造技術が必要となります。
INPEXが参画している「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発」はこれら技術の確立を目指すもので、我が国の化学産業の将来の成長の糧となるイノベーションを創出する未来開拓研究プロジェクトの一つとして実施されています。INPEXでは本研究開発の中で主に以下のソーラー水素等製造の製造プロセスの技術開発に参画すると共に商業化に向けての検討を進めています。
ソーラー水素等製造プロセス技術開発目標
・光触媒等のエネルギー変換効率10%を達成する。
・小型フロー式でエネルギー変換効率を最大限引き出し、長期耐久性も兼ね備えたモジュールを設計する。
・水素を安全に分離可能な長期耐久性も兼ね備えたモジュールを設計する。
ソーラー水素製造に関する技術開発の成果を今後速やかに商業化に移行することを目的として、豪州において水素製造に適した地域を特定するために日射量調査を実施しています。また、豪州ダーウィン市において本プロジェクトで開発された水素生成システムのプロトタイプを用いて、実環境下での運転試験を実施することにより運用面や安全面における課題抽出、解決策の提案を進めています。
連携先
人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)