事業活動と製品・サービスを通じて温室効果ガス排出の実質ゼロに
株式会社LIXIL
概要
LIXILは、2050年までに事業活動と製品・サービスを通じてCO₂排出量実質ゼロを目指しています。世界で消費されているエネルギーの32%は建物で消費されています。LIXILは事業を通してそのエネルギーの削減に貢献し、脱炭素社会への移行につなげる重要な役割を担っています。住生活にかかわる先進技術や専門知識を最大限活用し、自らの事業活動による環境負荷の最小化、地球環境に配慮した製品・サービスの提供に取り組んでいきます。さらに、様々なステークホルダーと協同し、持続可能な地球環境の未来に貢献していきます。
説明
LIXILは環境ビジョン2050を掲げ、2050年までに事業活動と製品・サービスを通じてCO₂排出量実質ゼロを目指しており、2030年までには2015年度と比較して、スコープ1、2*1を30%削減、スコープ3*2のうち、製品使用による排出の15%削減を目指しています。この目標は、国際的なイニシアチブである「Science Based Targets(SBT)イニシアチブ」により科学的根拠に基づいた削減目標として2017年に承認されました。
*1自社で使用した燃料、電気に伴う温室効果ガス排出
*2 サプライチェーン上での温室効果ガス排出
この目標達成に向けて、効率的なエネルギーの利用や再生可能エネルギーの導入、優れた環境性能を持った製品・サービスやZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及促進を実施していきます。
1.事業活動を通した取り組み
各ビジネス組織が、環境中期目標に準拠した目標・施策を設定し、サプライチェーンのすべてのプロセスにおいてエネルギー消費を削減するため省エネ・創エネなど気候変動の緩和につながる活動を進めています。
例えば、LED照明への切り替えも推進しており、日本国内の工場ではすでに95%以上の照明の切り替えを完了し、CO₂排出を削減しました。また、生産工程におけるエネルギーの効率化を目指し、エネルギー使用量の見える化を通した改善活動、高効率な生産設備の導入などを進め、消費電力の削減を進めると同時に、メガソーラー発電施設の運営、工場やオフィスにおける再生可能エネルギーへの切り替えも推進し、コストアップなしで切り替えを実現しています。グループ会社のGROHEの全ての工場・物流センターでは再エネ100%化を実現しており、日本国内でも工場・物流センター、営業所・ショールーム等でも順次、再エネ導入拠点を増やしていく計画です。
2.製品・サービスを通した取り組み
製品・サービスにおいては、省エネ、温室効果ガス削減による気候変動の緩和だけでなく、気候変動が進行した社会でも住空間が健康で快適なものに保つ製品を提供することにより、気候変動の適応にもつなげています。
例えば、LIXILの高断熱窓サッシや窓の外に設置するシェードなどにより、熱の出入りを抑制し、室内を健康で快適な空間に保ちながら冷暖房によるエネルギー消費量を削減し、CO₂排出の削減に貢献しています。既存住宅の窓を断熱窓に簡単にリフォームできる製品も提供しており、住宅の断熱化を推進しています。キッチン水栓やシャワーヘッドなどの水まわり製品は節水技術によりお湯の使用量を削減することで、給湯によるエネルギー削減に貢献しています。
このほかにも、自宅に設置できる宅配ポストの普及を目指した取り組みも実施しています。宅配ポストは、スマートフォンとの連携機能により、荷受け通知や複数荷物受け取りが可能になり、再配達によるCO2排出の削減につなげています。2018年度の宅配便の取扱量が年間43億個を超えるなか、再配達のトラックから排出されるCO₂は年間約42万トンといわれています。2019年より再配達に伴う労働生産性の低下や、CO₂排出量の増加などの社会問題の解決に貢献するため、IoTを駆使した宅配ポストを100世帯のご家族に無償で利用いただき、実証実験を行いました。その結果、再配達率が41.7%から14.9%に減少しました。また、半数以上のユーザーが節電・エコバックの利用など社会・環境問題を意識した行動を増やしたという傾向も出ています。ニューノーマルの時代でも健康で快適、安全な暮らしに貢献する製品・サービスの提供を目指しています。
また、家庭のエネルギー使用量の削減のためには、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及が鍵となりますが、普及が進んでいないのが現状です。そこで、東京電力エナジーパートナー株式会社とともに設立した合弁会社「LIXIL TEPCOスマートパートナーズ」がLIXILのZEH建材を採用するお客さまを対象に、太陽光発電システムのお客さまの毎月の割賦支払を実質ゼロにするサービスを提供し、ZEHの普及促進に貢献しています。
3.ステークホルダーと協働した取り組み
2018年より、住まいの「省エネ」と「健康・快適」な暮らしの両立を実現するために「室内温度」に着目し、“ヒトと地球にやさしい温度”の大切さを「学び・体感」 を通じて、お客さま、地域社会、ビジネスパートナー及び従業員などの幅広いステークホルダーの環境意識を高め、行動変容を促すことを社会全体に広げていく「THINK HEAT」活動を推進しています。
従業員自らが講師を務めるオリジナルの小学生向け出前授業『健康と環境によい住まい方』では、電気を使わずに快適に過ごすための工夫を考えるワークショップや、家の中に採り込んだ風の流れを理解するための家の模型を用いた実験などを実施しています。
自治体と協働し、室内熱中症予防や日よけ習慣を広げる啓発活動『クールdeピースプロジェクト』、お客さまが購入した断熱窓などの売り上げの一部で地域の保育所・幼稚園に外付け日よけを寄付する『窓からECOシェアプロジェクト』活動など、気候変動の緩和と適応に寄与する活動を展開しています。
また、従業員自ら、そしてお客様への「室内温度」を意識するきっかけづくりとするためにオリジナル温度計を配布しました。さらに、住居内の温度差が体感できる施設「住まいStudio」を東京、大阪に開設し、1年を通して快適な暮らしを送るために必要なことを来館者に体感、学んでいただいています。
連携先
東京電力エナジーパートナー株式会社
埼玉県熊谷市
熊本県西原村
静岡県富士市
富士市立岩松北小学校
東京都江東区
東京都江戸川区
佐川急便株式会社
日本郵便株式会社
補足情報
詳細は、当社の公開情報を参照
ウェブサイト
https://www.lixil.com/jp/sustainability/approach/environment.html
コーポレート・レスポンシビリティ報告
https://www.lixil.com/jp/sustainability/environment/pdf/environmental_vision_jp.pdf
THINK HEAT ウェブサイト
https://www.lixil.co.jp/minnadesmileecopj/thinkheat/
富山市立岩松北小学校と静岡県富山市との共同検証実験に関するニュースリリース
https://newsrelease.lixil.co.jp/news/pdf/2020102701.pdf