再生可能エネルギーの普及を促進する蓄熱技術の実用化開発
愛知製鋼株式会社
概要
CO₂排出量削減は鉄鋼業の責務と捉え、当社は様々な取り組みを行っている。そのひとつに蓄熱技術がある。
製鋼プロセスに欠かすことができない石灰は、地球上に多量に存在し、一方で水との反応で熱を出し入れできることが知られる身近な材料として知られる。それを用いた蓄熱技術を開発し、安全・安心・安価な蓄熱システムを社会実装することで地球温暖化を抑制する低炭素社会の実現に貢献していく。
説明
近年の世界気温上昇は、大気中のCO₂濃度が化石燃料の燃焼等により人為的に増加したためと言われている。そこで化石燃料の使用量を削減するため、工業炉からの高温排熱等の未利用熱を有効利用する蓄熱技術に着目した。
古くから知られる石灰と水(水蒸気)の反応を利用したカルシウム系蓄熱材は、石灰粉末の凝集による蓄熱量の低下が問題とされていた。我々は凝集を抑制するため、石灰粉末間に粘土鉱物を微細分散して化学的に結着した微視構造を新たに考案し、加えて水蒸気拡散性と高密度化を両立した圧密成型技術を確立した。本技術により1000回以上繰り返しても蓄熱量が1.6MJ/Lと従来技術を凌駕する蓄熱材を開発した。
これを装填した蓄熱装置を用い、加熱炉から発生する400℃以上の排熱を回収して蓄熱し、使いたい時に加熱用蒸気として熱利用するシステムを世界で初めて当社刈谷工場内に設置し、実用想定においてCO₂排出量が燃焼式ボイラーに比較して約80%削減できることが試算された。
本蓄熱システムは工場のみならず、再生可能エネルギーの変動吸収や社会インフラに依存しないエネルギー限としても期待でき、様々な分野で社会実装して地球温暖化を抑制する低炭素社会の実現に貢献していく。
連携先
株式会社豊田中央研究所
近江鉱業株式会社