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ポジティブ・インパクト・ファイナンスを通じた脱炭素社会実現への貢献

三井住友トラスト・ホールディングス株式会社

概要

 三井住友信託銀行は、責任銀行原則が掲げた環境、社会、経済に及ぼすインパクトに着目して、ポジティブ・インパクトを増加させ、ネガティブ・インパクトを低減させることを目的としたポジティブ・インパクト・ファイナンス(資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ)を提供しています。

 ポジティブ・インパクト・ファイナンス(以下「PIF」)は、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資です。企業の活動、製品、サービスによるSDGs及びパリ協定の目標達成への貢献度合いを評価指標として活用し、情報開示することが最大の特徴です。

 当社は、PIF等のサステナビリティに関するソリューション提供を通して、SDGs及びパリ協定の目標達成に資するお客さまの事業活動を支援し、脱炭素社会の実現に貢献するイノベーションに挑戦していきます。

説明

 三井住友トラストグループでは、ESG投資の投資家をはじめとするステークホルダーの視点を、可能な限り経営に取り込み・活用することに注力しています。具体的には、非財務・財務の重要項目をマテリアリティとして整理した上で、

①マテリアリティ・マネジメントを通じ経営基盤を強化すること

②サステナブル金融など事業においてサステナビリティを追求するビジネス戦略を推進すること

③統合報告書やESGレポート等を通じた投資家への訴求力を高めること

の3点を取り組みの柱に据えています。

 他方、ビジネス面については、2003年に日本で初めて機関投資家向けの「SRIファンド」を開発し、「ESG投資」を開始したことを契機として、環境(エコ)問題を信託(トラスト)を活用し解決(ソリューション)する「エコ・トラステューション」の推進、地域貢献活動(With You活動)、超高齢社会問題等をクローズアップして、グループでの取り組みを順次、進めてきました。足許においては、「気候変動問題」、「自然資本/生物多様性」、「環境不動産」、「サステナブル投資」、「超高齢社会問題」を5大テーマとして位置付け、PIFを含む「信託銀行らしい」トータルソリューションの提供に注力しています。

 PIFは、融資先企業の持続可能な開発目標の3要素である環境、社会、経済に及ぼすネガティブ・インパクトの緩和と、ポジティブ・インパクトの拡大を支援する取り組みです。2019年3月には不二製油グループ本社株式会社との間で、世界初となる「資金使途を特定しない事業会社向け融資タイプ」の融資契約を締結し、その後も着実に成約件数を伸ばしています(2020年7月1日時点で9件成約済)。2020年2月には、当該取り組みが認められ、環境省が主催するESGファイナンス・アワード・ジャパン-融資部門-にて金賞(環境大臣賞)を受賞しました。

 インパクト金融の狙いはSDGsとパリ協定の目標達成に貢献することです。その目標達成に向けた経路は、企業やプロジェクトへ直接的に資金支援する経路と目標達成に向けた企業行動の変革への働きかけの経路の2つがあります。企業行動変革の経路は、金融機関の最も日常的な取引である株式投資や融資に組み込まれていくため、金融機関が気候変動問題の解決に貢献するポテンシャルは非常に大きいと考えています。

 PIFにおいては、気候変動の緩和や適応に資する取り組みを融資先が創造するインパクトとして取り上げ、KPIや目標を設定し、その目標達成に向けた取り組みをモニタリングし、支援することとしています。気候変動に関連するインパクトとして取り上げた取り組みには下記のものがあります。

【取り組み例①】

  • 融資先企業

   株式会社SUBARU(自動車製造)

  • インパクト

   脱炭素社会への貢献

  • 取り組み内容

   ・自社の活動に起因するCO2排出量の削減

   ・クルマの燃費性能改善、電動技術の搭載及び電気自動車やハイブリッド車への切り替えによるGHG排出量削減への貢献

  • KPI(指標と目標)

   ・2030年度 自社の活動に起因するCO2排出量を30%削減(2016年度比)

   ・2030年までに、全世界販売台数の40%以上を電気自動車(EV)+ハイブリッド車にする

【取り組み例②】

  • 融資先企業

   三井化学株式会社(化学品製造)

  • インパクト

   環境保全(GHG・エネルギー、化学物質等の排出削減)、化学物質管理

  • 取り組み内容

   省エネルギー推進、燃料転換、プロセス革新技術の創出

  • KPI(指標と目標)

   ・2030年度までのGHG排出量削減率を▲25.4%以上とする(2005年度比)

   ・エネルギー原単位低減率を5年平均1%以上で継続する

   ・最新の安全性情報提供100%継続

 PIFは融資業務におけるお客様との共通価値の創造であり、当社は今後もPIFの推進を通して、ネット・ゼロエミッション技術等の開発、普及・実装に取り組む企業等に対するファイナンスに積極的にチャレンジし、「脱炭素社会」の実現に向けて環境と成長の好循環を促進していきます。

連携先

株式会社日本格付研究所と協力・連携。

補足情報

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