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風力エネルギーでGHG削減~ウインドチャレンジャープロジェクト~

株式会社商船三井

概要

「ウィンドチャレンジャープロジェクト」とは、伸縮可能な硬翼帆により、風力エネルギーを推進力に変換して利用する船の開発プロジェクトです。

当社では、国際海事機関が策定したGHG排出量目標(2050年までに船舶からのGHG排出量の総量を2008年比で50%削減)に取り組んでいますが、現在適用できる環境負荷低減技術のいずれか1つを採用するだけでは、この削減目標を達成できません。

その点ウィンドチャレンジャーは、他の省エネ技術等と干渉することがなく、”足し算”で効果を享受できます。現在、当プロジェクトでは2022年中に硬翼帆を1本実装した新造船の運航開始を目指しており、1本帆によるGHG削減効果は日本-豪州航路で約5%、日本-北米西岸航路で約8%を見込みます。将来的には複数の帆を実装し、他のGHG削減対策と組み合わせてIMO目標の達成に向けての有力なソリューションへ発展させることが目標です。

説明

「ウィンドチャレンジャープロジェクト」とは、伸縮可能な硬翼帆により、風力エネルギーを推進力に変換して利用する船の開発プロジェクトです。

当プロジェクトは、2009年に東京大学が主宰する産学共同研究プロジェクト「ウィンドチャレンジャー計画」として始まり、2013年からは国土交通省による「次世代海洋関連技術研究開発費補助金」の交付対象事業の1つに選ばれました。2018年1月からは産学共同研究を引き継ぐ形で商船三井と大島造船所が中心となり「ウィンドチャレンジャープロジェクト」を発足し研究を行っています。

当プロジェクトでは現在、2022年中に硬翼帆を1本実装した新造船の運航開始を目指しています。1本帆によるGHG削減効果は日本-豪州航路で約5%、日本-北米西岸航路で約8%を見込みますが、将来的には複数の帆を実装し、他のGHG削減対策と組み合わせてIMO目標(*1)の達成に向けての有力なソリューションへ発展させることが目標です。

当社は、IMO目標および当社環境ビジョン2.0(*2)の達成に向けて、GHG排出削減につながるあらゆる可能性を検討し、有力な技術について開発を続けています。なかでも、風力エネルギーを船の推進力に活用する当プロジェクトは、化石燃料動力の登場で姿を消した帆を、最新の技術と材料で貨物船へ改めて適用する意欲的なプロジェクトです。

現在適用できる環境負荷低減技術のいずれか1つを採用するだけでは、IMO及び当社が掲げる削減目標を達成できません。風力による推進補助装置であるウィンドチャレンジャーは、燃料転換技術(*3)や海面下の省エネ装置(*4)と干渉することがなく、他の省エネ技術に”足し算”で効果を享受できます。また、自動伸縮可能な帆とすることで、風速に応じて受風面積を調整することができ、また縮帆状態の高さは通常船舶と変わらないため、橋などが航路の制限となることはありません。帆の材料として複合材を用いることで重量を軽減し、船体強度への影響や船体動揺による帆への荷重インパクトを最小化しています。

当社は、プロジェクトメンバーと協力して本プロジェクトを推進することで、GHG削減及び地球環境保全へ貢献します。

(*1)国際海事機関(IMO)が2018年に策定した海事セクターにおけるGHG排出量目標。2050年までに船舶からのGHG排出量の総量を2008年比で50%削減することが求められています。

(*2)パリ協定、そしてIMOのGHG削減⽬標レベル達成のために、踏み込んだ具体的数値⽬標を盛り込んだ当社の環境ビジョン。2020年6月29日発表。

中長期目標

  • 2030年に持続可能なネットゼロGHGエミッション外航船を創出します。
  • 2050年に船からのGHG排出総量を2008年⽐50%削減します。
  • 今世紀中のできる限り早期にネットゼロGHGエミッションを実現します。

https://www.mol.co.jp/ir/management/plan/pdf/material_2020.pdf#page=19

(*3) LNG燃料やメタノール燃料など、従来の船舶燃料である重油に代わる低環境負荷燃料を船で使用できるようにする技術のことを指します。

(*4) 船型改良やPBCF(プロペラ・ボス・キャップ・フィンズの略。船のプロペラ後方に発生するハブ渦を解消してプロペラの効率を改善させ、船舶の燃料消費量を3~5%削減出来る省エネ装置。商船三井、(株)西日本流体技研、ミカドプロペラ(株)(現・ナカシマプロペラ(株))の3社が開発し、1987年の販売開始以来、全世界で広く認められ、これまでに3,300隻を越える船舶に搭載されています。)など。

連携先

株式会社大島造船所
東京大学 大学院新領域創成科学研究科
株式会社大内海洋コンサルタント
学校法人金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター
東京計器株式会社
株式会社相浦機械
関西設計株式会社
株式会社ジーエイチクラフト
有限会社 エイシーティー
商船三井テクノトレード株式会社

補足情報

商船三井 プレスリリース
https://www.mol.co.jp/pr/2019/19074.html

商船三井グループ 環境ビジョン2.0
https://www.mol.co.jp/ir/management/plan/pdf/material_2020.pdf#page=19

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