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下水汚泥固形燃料の地域循環活用

佐藤工業株式会社

概要

・脱炭素化に向けた再生可能エネルギーとして、バイオマス発電の普及が進む中、燃料となる間伐材等資源の国内における供給量等制約が問題化している。一方で、間伐材と同様の有機質資源である下水汚泥については、未だその多くがエネルギーに転換されることなく廃棄物として焼却処理等されている状況である。

・こうした中で、地域で発生する有機質資源であるそれら下水汚泥を、化石燃料等に頼らない堆肥化手法による「発酵熱」を利用して乾燥し、廃プラや木質などの廃棄物等を混合して固形燃料に転換する「下水汚泥の固形燃料化技術」が開発されている。燃料供給事業としてこれら技術による下水汚泥のバイオマス燃料化を推進することで、過度な木質資源の収奪を抑制するとともに、地域雇用・経済に好影響を再現する地域循環共生型社会の確立に向けた、有機質資源の地産地消を可能とするカーボンニュートラルな燃料供給により、「脱炭素社会」の実現に取り組んでいく。

説明

チャレンジ実現に向けて克服すべき課題
・下水汚泥固形燃料化技術については、技術的には一定のレベルまで開発されているが、燃料供給事業としてみると、下水汚泥供給源・燃料販売先の確保、処理費及び燃料販売価格等の関係者間の調整といった事業のトータルコーディネートについて、個別の事業者主体の活動では限界がある。
・また、FIT制度におけるバイオマス発電の普及の中で、国内の間伐材等に加え、海外からのPKS(パーム椰子殻)燃料の輸入が拡大し、広域における燃料の移動に要する温暖化ガス排出とカントリーリスク(供給コストリスクの増大等)を招いている。
・バイオマスエネルギーの普及にあたっては、地産地消型社会を考えたとき、各地域内におけるエネルギー需給バランスに加え地域内燃料供給能力を考慮した、事業モデルが望まれる。

具体的アクション
・バイオマス発電が進展している地域をモデルとして、産学からなる任意の研究活動などにより、地域における課題・問題点を各主体において共有化したうえで、具体的な地産地消型エネルギー供給モデルの事業化にむけた活動を行う(1stステップ ~2年程度:目標2022)
・パイロットとなるプロジェクト事業を立ち上げ、経済性等の検証を行う(2ndステップ ~3年程度:目標2025年)
・既存のバイオマスボイラー事業の代替となる地産地消型モデル事業の展開:複数個所を進める(3rdステップ ~5年:2030年)。

チャレンジにおける到達目標
・開発 2022:モデル事業における技術普及化指標(事業普及に向けたエネルギー消費規模と下水汚泥発生量の効率的指標など)等の設定
・ 実用化 2025:パイロットプロジェクトの実施(EX.人口規模10,000~50,000程度)
・ コスト 脱水汚泥由来の固形燃料製造目標コスト(10,000~15,000円/t)

参考:既存バイオマス燃料の調達単価例(円/t)
輸入チップ 20,000~22,000
輸入ペレット 20,000~22,000
PKS 10,000~12,000 (一社)日本木質バイオマスエネルギー協会資料より

チャレンジが実現した場合の定量的効果
EX: 固形燃料製造により削減されるCO2排出量 661t-CO2/年/処理人口50,000人
参考(試算例)
・処理人口50,000人規模から発生する脱水汚泥 ⇒ 4,000t/年(0.08t/人想定)
・脱水汚泥4,000tより固形燃料を製造した場合のCO2排出量
(全量焼却処理した場合と比較)
・ 焼却処理のケース
A重油使用量 : 197kℓ ⇒ CO2排出量 534t-CO2/年
電気使用量 : 1,089MWh ⇒ CO2排出量 599 t-CO2/年
⇒ 合計 1,133 t-CO2/年
・ 固形燃料製造※⇒燃料使用(カーボンニュートラル)の場合
軽油使用量 : 20kℓ ⇒ CO2排出量 52t-CO2/年
電気使用量 : 764MWh ⇒ CO2排出量 420t-CO2/年
⇒ 合計 472 t-CO2/年
・固形燃料製造により削減されるCO2排出量
1,133-472=661t-CO2/年/処理人口50,000人

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