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ICT・AI等を活用したPEB(ポジティブ・エネルギー・ビル)の実現と普及

株式会社奥村組

資料1: ZEBとAEMSによるエネルギーの面的利用の関係

資料2: Building modified to ZEB ready 「CROSS DOCK HARUMI」 大塚倉庫(株)東京本部

資料3: Building modified to Nearly ZEB (株)奥村組 技術研究所 管理棟

概要

2018年に閣議決定されたエネルギー基本計画では、「2030年までに新築建築物の平均でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現すること」が目標として掲げられている(1)。奥村組は「チャレンジ・ゼロ」宣言に基づき、2050年までにZEBよりエネルギー性能の高い「ポジティブ・エネルギー・ビル(2)」(以下、PEB)の実現と普及により、ゼロエミッション社会の実現に貢献する。

PEBの実現と普及に向け、以下の目標に取り組む。

2030年
2020年5月に新設する室内環境実験棟等を活用し、ICT・AI等を活用した快適性のセンシング・制御技術の開発および『ZEB』の実現

2040年
各種設備を統合する最適エネルギーマネジメントシステム(以下、EMS)の開発によるPEBの実現

2050年
EMSの低価格化と、設計施工物件への積極的な提案によるPEBの普及

説明

1.『ZEB』の実現性
現在、閣議決定されているエネルギー基本計画では、「2030年までに新築建築物の平均でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現すること」が目標として掲げられている。ここでいうZEBとは、一次エネルギー消費量を省エネと創エネによって正味ゼロとする『ZEB』、一次エネルギー消費量を省エネと創エネによって基準値より75%以上削減させる「Nearly ZEB」、一次エネルギー消費量を省エネによって基準値より50%以上削減させる「ZEB ready」を包括した概念である。一次エネルギー消費量を正味ゼロにする『ZEB』は、エネルギー供給設備の設置面積が建物の延床面積に比して少ない高層の大規模建築物において、特に実現が困難とされる (2)。

2.PEBの必要性
奥村組は、2050年のゼロエミッション社会実現のためには、中低層の建物においてエネルギーがプラスになる「ポジティブ・エネルギー・ビル(PEB)」を実現すること、そして『ZEB』の実現が難しい高層の大規模建築物への面的エネルギー(3)の供給によって地域全体で建物の一次エネルギー消費量の正味ゼロを実現することが必要と考える。そこで奥村組は2050年までにPEBの実現と普及にチャレンジする。

3.PEB実現のための方法
PEBを実現するには、建物のエネルギー消費量を極力0に近づけ、再生可能エネルギーの余剰量を増やす必要がある。省エネ・創エネ設備の効率は今後も向上が期待されるが、PEBを早期に実現するには、建物全体でエネルギーを最適化する仕組みが必要である。
その方法として、

① ICT・AI等を活用した快適性のセンシング・制御技術の開発
空間の快適性を確保するための設計基準は、在室者の不満が出ないレベルで制御するのが一般的であるが、Society 5.0(4)で「様々なニーズに対応」する社会が目指されており、今後は建物の中でも人によって異なる要求環境を最小限のエネルギーで提供する仕組みが重要となる。奥村組はこれまでも、熱環境に対する快適性と温度の時間変動の関係に着目し、この関係を利用してエネルギーを節約する空調制御技術の開発(5)等に取り組んできた。今後はICT・AI等を活用し、熱環境に加え、光や気流環境に対する快適性もセンシングし、設備の最適制御によってさらなる省エネルギー化を実現していく。

② 各設備を統合する最適EMSによる建物全体の最適化
個別の設備を制御するだけでなく、設備全体を統合する全体最適化も重要となる。建築設備には、空調やファン、照明といったエネルギーを熱や気流、光に変換する設備だけでなく、自動開閉開口部や自動制御ブラインドといった屋外環境との調和を図る設備も含まれ、これらの複合効果によって、エネルギー消費量が決まる。このような設備による効果の関係を研究し、その最適化を図ることで、自然エネルギーを最大限に利用可能なシステムが実現できる。センシングによって収集された膨大なデータの処理が課題となるが、エッジコンピューティングの活用やAIによる膨大なデータからの推論を組み合わせて解決していく。

③ エネルギーの面的利用技術の導入とEMSを含むシステム全体の低価格化
建物向けのEMSは、大規模ビルへの導入を想定した高額なものが多く、国内建物の大部分を占める中小規模ビルで十分に導入が進んでいない。しかし、今後、スマートシティ(3)の取り組みにより、中小規模建物においても、エネルギーの面的利用を目的としたエリアエネルギーマネジメントシステム(以下、AEMS)の導入が進むことが想定される。エネルギー事業者との協業、AEMSとの連携を図り、システムの低価格化に挑む。(資料1)

に取り組む。

4.到達目標
2030年: ICT・AI等を活用した快適性のセンシング・制御技術の開発および『ZEB』の実現
2040年: 各種設備を統合する最適エネルギーマネジメントシステムの開発によるPEBの実現
2050年: EMSの低価格化と、設計施工物件への積極的な提案によるPEBの普及

5.今後の取り組み(具体的なアクション)
奥村組は設計物件でのZEB ready(6)、Nearly ZEB(7)を達成している(資料2,3)。今後、早期に『ZEB』を実現するため、ICT・AI等を活用した快適性のセンシング・制御技術の開発に取り組んでいく。2020年5月より稼働する奥村組技術研究所環境実験棟では、執務室や吹き抜けなどの大空間の熱・光・気流環境の検証が可能になるため、この施設を活用し、各種環境制御技術の研究・開発を進めていく予定である。

補足情報

(1) 閣議決定「第5次エネルギー基本計画」2018年7月
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/180703.pdf

(2) ZEBロードマップ検討委員会とりまとめ 2015年12月
https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/zeb/03.pdf

(3) 国土交通省「スマートシティの実現に向けて 【中間とりまとめ】」2018年8月
https://www.mlit.go.jp/common/001249774.pdf

(4) 内閣府 科学技術政策「Society 5.0」
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html

(5) パッシブリズミング空調(第6回国土技術開発賞 優秀賞)
http://www.jice.or.jp/award/detail/108

(6) (社)環境共創イニシアチブ ZEBリーディング・オーナー 大塚倉庫株式会社
https://sii.or.jp/file/zeb_leading_owner/ZEB29L-00047-P_01.pdf

(7) 奥村組HP プレスリリース「技術研究所Nearly ZEB改修」 2020年2月
http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/data/200226.pdf

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