台風襲来の多い島嶼地域で困難な風力発電の導入と適応策
沖縄電力株式会社
概要
当社が供給する沖縄エリアは、小さな離島を多く含む島嶼地域であり、低炭素社会の実現や離島発電所の燃料コスト低減にむけて、再生可能エネルギーである風力発電設備の導入が期待される。しかしながら、台風襲来の多い地域であり、風車を導入するには塩害・台風という過酷な気象条件に耐えなくてはならない。
その対策として、風車に強風に耐える強度を求めるのではなく、地面に倒して強風を回避する適応策の視点を取り入れ、当社は国内初となる可倒式風力発電設備を県内離島へ導入し、台風襲来の多い島嶼地域においても被害なく実働可能であることを確認した。
当設備は、沖縄と同様の問題を抱える大洋州島嶼国の再エネ導入に向けた課題解決に寄与することが期待される。
説明
【島嶼地域への可倒式風力発電の導入】
当社の可倒式風力発電設備は、フランスのVergnetのGEV-MP-Cをもとにタワー部を日本国内で制作し、GEV-MP-Cのナセルを使用することで最適な風車導入が可能となり、以下の特徴を有することから、強風による被害の復旧費用増大及び島嶼地域ゆえの復旧期間長期化などの課題を解決した。
可倒式風力発電設備は、気候変動が進行し、台風の強大化なども考えられる中、再エネを導入していく適応策にも資する技術と考える。
当社は地元で培った「沖縄発」の知見と技術で、沖縄と同様の問題を抱える大洋州島嶼国の課題解決に貢献できると考える。
【可倒式風車の特徴】
1. 台風に強い
台風接近の際には風車を傾倒し、タワーとブレードを固定することができます。
傾倒作業は1時間程度で、風車を地面に固定することができます。
2. 地震に強い
支線式タワーの柔軟な構造により、地震の多いエリアでも安心。
3. 地上でできるメンテナンス
通常、風車のメンテナンスには大型の重機を使用する必要があり、作業も高所作業となってしまうことから、足場を設ける必要が発生します。当該可倒式風車では、風車を傾倒することができるため、メンテナンスは地上で行うことが可能となり、大型重機の使用や高所作業不要となり、メンテナンスコストを抑えることが可能です。
4. 基礎の小型化
タワーは軽量であるのに加えて、支持ワイヤーで基礎と固定されているため、非常に小さな基礎しか必要ありません。
【導入・普及状況】
・ 波照間島 (出力:245kW×2基)
・ 南大東島 (出力:245kW×2基)
・ 粟国島 (出力:245kW×1基)
・ 多良間島 (出力:245kW×2基)
・ トンガ王国 (出力:275kW×5基)
連携先
株式会社プログレッシブエナジー
補足情報
当社グループ会社である株式会社プログレッシブエナジーのウェブページを参照
http://pec.ne.jp/wind.php