「SDGsグリーンローン」を通じた企業の環境課題への挑戦支援
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
概要
株式会社三井住友銀行は、資金使途を環境や社会課題の解決に資する事業に限定し、融資先企業の報告(インパクトレポート)に基づき、CO2排出量削減等の環境貢献効果を確認する「SDGsグリーンローン」を通じて、企業の環境課題への挑戦を支援している。
水素社会実現への挑戦や、製品製造プロセスにおけるCO2排出量削減などの取組に対して融資を行いつつ、インパクトレポートにおいてKPIを設定することで、融資先企業における非財務情報の開示促進への貢献も企図する。
説明
SDGsグリーンローンは、資金使途を環境や社会課題の解決に資する事業に限定し、融資先企業の報告(インパクトレポート)に基づき、CO2排出量削減等の環境貢献効果を確認するローンである。
近年、ESG投資家を中心に、非財務情報の開示を重要視する傾向が強くなっている。なかでも、本業を通じた社会貢献や、環境配慮にかかわる情報が重要であり、インパクトをわかりやすく、かつ詳細に開示していく、グリーンボンドやソーシャルボンド(社会貢献債)の発行残高が全世界で急に成長している。これらを間接金融の世界でも実現していこう、という試みがSDGsグリーンローンである。
ボンドの場合、発行コストや手続きの煩雑さがあり、大規模な資金調達を予定していないと活用が難しいが、ローンの場合はボンドに比して柔軟な対応が可能である。
SDGs実現に向け「わかりやすくインパクトが開示されているファイナンス商品に投資したい」という投資家のニーズと、「非財務情報を効果的に開示したい」という資金調達企業の双方のニーズに応える一手につながれば、銀行としてSDGsへの役割を果たすことになる。
下記事例はSDGsグリーンローンを通じた環境課題への挑戦であり、本商品の提供およびインパクトレポートの確認を通じて、SDGs達成に貢献するお客様の取組を金融面から伴走していく。
取組事例1:水素社会実現への挑戦「株式会社エノモト」
山梨県上野原市に本社を置く精密機械部品メーカーの株式会社エノモトは、山梨県、山梨大学と産官学連携のもと、安価で高品質な水素燃料電池の普及に向けた研究開発を進めている。製造コストを押し上げているセパレータと、ガス拡散層を一体化することで、安価かつ高性能な水素燃料電池の開発を可能にする同社の研究開発及び製造に関する資金を「SDGsグリーンローン」にて調達した。
世界的な自動車メーカーのサプライチェーンの一角を担う同社の本研究開発及び水素燃料電池の普及は、環境負荷低減、エネルギーセキュリティの確保、新規産業創出等の環境課題の解決の方策として期待されている水素社会の実現に大きく貢献するものであり、当社と当行とで設定した以下のレポーティング項目を通じて、水素社会実現に向けた挑戦の進捗確認を行う。
(インパクトレポートにおける主な報告予定項目)
・ 改良型水素燃料電池の普及による、再生可能エネルギーの利用可能量拡大
・ ガソリン車から、改良型水素燃料電池を搭載した自動車に置き換わる想定代替数、及びそれに伴うCO2 排出量の削減
・ 改良型水素燃料電池における、従来比製造コスト低下割合
・ 研究開発の進捗状況(発表した論文数、特許出願数、実用化に繋がった事例等)
取組事例2:製造プロセスにおける環境負荷低減への挑戦「リョービ株式会社」
広島県府中市に本社を置くアルミダイカスト大手のリョービ株式会社は、アルミダイカスト製品製造に用いる鋳造機・製品加工設備等において、環境性能の高い設備導入に係る資金を「SDGsグリーンローン」にて調達した。製造プロセスにおける環境負荷低減に着目したグリーンローンは国内初の事例となる。
省エネ効果が認められる新たな生産設備の導入により、製造プロセスでCO2削減効果が見込まれることに加え、アルミダイカスト製品は運輸部門の温室効果ガス削減において重要な要素の一つである輸送機器の軽量化に寄与するプロジェクトである。
当社と当行とで設定した以下のレポーティング項目を通じて、製造プロセスにおける環境負荷低減に向けた挑戦の進捗確認を行う。
(インパクトレポートにおける主な報告予定項目)
・ 新たな設備機器を導入する工場単位でのCO2排出削減量
・ アルミダイカスト製品におけるリサイクル合金使用率100%の実現
・ 2020年12月までにCO2排出量生産高原単位を2013年度比13%削減
・ CO2排出量生産高原単位を前年度比1%削減
連携先
融資先企業と連携して実施