エネルギー製品群による低炭素・脱炭素社会への貢献
アイシン精機株式会社
概要
自社のエネルギー機器をコアとして、低炭素・脱炭素を実現するエネルギーシステムを構築する。
具体的には、家庭用コージェネレーション、ガスエンジンヒートポンプの低コスト化、小型化、高効率化を進めることで普及拡大を図り、家庭用・業務用分野の省エネを推進することで低炭素化に貢献していく。
更に、これら機器群のIoT化を進め、足元ではバーチャルパワープラントのリソースとして応動させることで再生可能エネルギーの出力変動吸収の一助を担い、系統増強などのインフラ投資を軽減しながら、再生可能エネルギーを大量導入していくことに貢献する。更には、再生可能エネルギー、EV、蓄電池など他のエネルギーリソースと連携して面的に融通しあうことでまち全体のエネルギーの有効利用が可能な地域マイクログリッドを実現し、低炭素・脱炭素なまちづくりに貢献する。
また、地域マイクログリッド化により大規模停電時に自立することで、風災害におけるレジリエンス強化にも貢献する。
説明
【省エネ・水素分野】
・燃料電池型家庭用コージェネレーションについては、国の目標である2030年の530万台普及に向け、経済産業省が策定した水素・燃料電池ロードマップ記載の目標である、SOFC型100万円の実現を目指して低コスト化を進めていくと共に、更なる発電効率の向上を図り、2025年頃に55%超、将来的には65%超をめざすことで、2030年頃までに投資回収年数を5年程度に短縮していく。
また、小型化および設置工事における制約事項を解消していくことで、設置性を改善し、都心部の狭小住宅や集合住宅などの市場を開拓していく。
このためセルスタックの高効率化・高出力密度化の技術開発をセルスタックメーカーと協力して進めていく。
更に、2030年以降の国際的な水素サプライチェーンの構築や国内の再生可能エネルギーの供給量拡大によるPower to Gasの普及を見込み、CO2フリー水素を燃料とする純水素燃料電池コージェネレーションの開発を進めていく。
・ガスエンジンヒートポンプについては、更なる高効率化を進め、空調分野の省エネに貢献する。将来的には水素利用も検討していく。
【再生可能エネルギー】
・自社のエネルギー機器のIoT化を進めることで遠隔制御できる仕組みを構築し、バーチャルパワープラント(VPP)のリソースとして活用できるようにしていく。特に、燃料電池型家庭用コージェネレーションが530万台普及すれば、数百万kW規模の調整電源に相当するため、再生可能エネルギーの変動吸収手段の一つとして十分なポテンシャルを有し、系統増強など過度のインフラ投資なしに再生可能エネルギー導入可能量を増大させることに貢献可能である。2018年度から「豊田市つながる社会実証推進協議会」に参画しており、自社の燃料電池型およびエンジン型家庭用コージェネレーションがVPPのリソースとして活用できることを確認している。今後、VPPリソースとしての能力向上に継続して取り組んでいく。
ガスエンジンヒートポンプについては、電気ヒートポンプとのハイブリッドモデルを商品化しており、これらをVPPリソースとして活用することで、空調の快適性を大きく損なうことなく電力デマンドを調整することが可能であり、商業や工業分野におけるVPPリソースとして再生可能エネルギーの導入拡大に貢献していく。
・エンジン型家庭用コージェネレーションについては、食物残渣や家畜の糞尿などからバイオガスを発生させる装置と組合せたシステム開発を進めており、日本のみならず、バングラデシュ、インドでも実証に取り組み、システムの有用性を検証している。
・これらの仕組みを活かし、再生可能エネルギー、EV、蓄電池など他のエネルギーリソースと連携して面的に融通しあうことでまち全体のエネルギーの有効利用が可能な地域マイクログリッドを実現し、低炭素・脱炭素なまちづくりに貢献する。
【その他:レジリエンス】
・家庭用コージェネレーションは停電時の自立運転機能を搭載しており、風災害による停電時でも電力および給湯が可能であり、被災時でも最低限の生活を維持することに貢献できる。
・地震等で電力・ガスのインフラが被災した場合には、エンジン型家庭用コージェネレーションを搭載したエネルギービークルによる被災地支援が可能である。被災地のインフラが復旧するまで、現地の生活を支えることでレジリエンス性を高めている。
補足情報
【エネファーム20年モデル】
https://www.aisin.co.jp/news/2020/012157.html
【バーチャルパワープラント実証】
https://www.aisin.co.jp/news/2019/011964.html
【エネルギービークル】※2019年度グッドデザイン賞受賞
https://www.aisin.co.jp/news/2019/012050.html