バイオマス燃料の活用
大王製紙株式会社
概要
紙の原料であるクラフトパルプの製造工程から発生する工程排水には木の樹脂から出てくるメタノール成分が含まれています。この工程排水からバイオガス(有機物を発酵させたときに発生するメタン成分を主成分とするバイオマス由来のガス)を取り出して化石燃料の代替燃料として活用します。
2020年10月、当社三島工場に国内最大級の嫌気処理設備を設置する計画です。これにより排水負荷低減と同時に、重油削減量約5,000kL/年、CO2排出削減量約15,000t/年の環境負荷低減が期待できます。
説明
製紙業は、地球温暖化が問題となる以前より、パルプ蒸解廃液(黒液)や原料として利用できないバーク(木の皮)、古紙を再生する際に出てくる製紙スラッジなど、現在ではバイオマス燃料と呼ばれるものを燃料として有効利用してきた歴史があります。また、当社では業界に先駆けて建築廃材を主燃料とするバイオマスボイラーも稼動させてきました。
これら従来のバイオマス燃料に加えて、新しいバイオマス燃料の製造設備として、クラフトパルプ製造工程で発生する排水からバイオガスを取り出す設備を2020年10月 三島工場に設置します。この設備は、住友重機械エンバイロメント株式会社の嫌気性処理システム(バイオインパクト)の技術を利用したもので、国内最大級の嫌気処理設備となる予定です。
クラフトパルプの製造工程から発生する工程排水にはメタノール成分と臭気成分が含まれています。従来、工程排水は有効利用されることなく処理されており、また臭気成分を除去するためには多くのエネルギーが必要でした。
本事業では、このクラフトパルプ排水からバイオガスを取り出し、取り出したバイオガスは、三島工場内にある石灰焼成キルン*1で使用する重油の代替燃料として有効利用します。これによりCO2排出量削減(年間約15,000㌧)、排水負荷低減などの環境負荷低減効果が期待されます。
本事業は、再生可能エネルギー活用の先導事例として、経済産業省の「再生可能エネルギー熱事業者支援事業」に採択されています。また、愛媛県のバイオマス活用推進計画における推進事業の一つとしても認定されており、官民一体で進めていく事業です。
また、本設備で取り出したバイオガスとLNGを組み合わせることで、更なる重油使用量削減にも繋げることも計画しています。
今後も大王製紙グループは、再生可能エネルギーの有効利用を通じて、環境負荷低減の取組みを継続していきます。
*1:クラフトパルプ製造工程で使用する石灰を焼成して再利用する設備
連携先
経済産業省、愛媛県
住友重機械エンバイロメント株式会社
補足情報
詳細は、当社ホームページを参照下さい。
https://www.daio-paper.co.jp/wp-content/uploads/n180925.pdf