リアルデータとデジタル技術を活用した保険商品・サービスとESG投資を通じたイノベーション支援
SOMPOホールディングス株式会社
概要
当社グループは「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献する」という経営理念のもと、以下に記載する保険を基盤とした幅広い事業活動を通じて、脱炭素社会の実現に向け取り組んでいきます。
<再生エネルギーの普及>
中核事業である損害保険事業で培った知見やリアルデータ、デジタル技術を活かしたリスクマネジメントサービスにより、再生可能エネルギーの普及を後押ししていきます。
<「移動革命」への寄与>
自動運転やMaaS(Mobility as a Service)の普及に貢献し、交通渋滞緩和、走行時の燃費向上、およびシームレスな公共交通の実現等のモビリティの最適化を通じ、「移動革命」に寄与していきます。
<ESG投資を通じた企業のイノベーション促進>
投資活動・商品を通じて、気候変動を含むESG課題に対するイノベーションに取り組む企業を支援していきます。
これらの取組みを向上させるために、当社グループはさまざまなステークホルダーとの対話や協働を強化してまいります。
説明
1. 保険商品・サービスを通じた取組み
(1) 再生可能エネルギーの普及
当社グループは保険提供に加え、風力発電事業のプロジェクト組成から運転開始、その後の撤去又はリプレイスに至る全てのプロジェクトフェーズを対象として、風力発電事業に係るバリューチェーン全体へのリスクマネジメントサービスの提供を通じて、再生可能エネルギーの普及に取り組みます。
① 風力発電事業者向けリスクマネジメントサービス
損害保険事業を通じて培った知見に加え、大学や研究機関との共同研究成果、当社グループ所属エンジニアの技術的知見、およびマルチベンダー風力発電メンテナンス技術を有する企業との連携等により得たデータや知見により、計画段階から事業運転に至るまで一貫したリスクマネジメントサービスを提供しています。
② 事業健全性の評価
風力発電事業において大学と共同開発したリスク評価モデルを応用して、自然災害による財務への影響をコンピューターシュミレーションにより分析し、金融機関が投融資判断材料として活用可能な事業健全性の評価を実施します。
<主なサービス>
・ 陸上・洋上風力発電所リスク評価モデル
・ 風力発電プロジェクトの財務リスク評価モデル
・ 風力発電事業に関するリスクの定量化
・ 風力発電事業のメンテナンスおよび予防保全の効果の定量化 等
(2) モビリティの最適化を通じた脱炭素社会の実現
脱炭素社会の実現には、地域交通のゼロエミッション化が大きな役割を果たすとの認識の下、当社グループは保険事業を通じて得られたリアルなデータを最大限に活かし、自動運転、MaaSの促進などのモビリティの最適化によって脱炭素社会への貢献を目指していきます。
① 自動運転社会の実現に向けた取組み
自動運転技術の進展は、交通渋滞緩和や走行時の燃費向上などエネルギー効率の向上や、シームレスな公共交通の実現を通じて温室効果ガス排出抑制に大きく貢献すると考えられます。同時に、安全な移動を可能にし、高齢化が進む地域における課題解決にも寄与します。
当社グループは損害保険事業を通じて得られる走行データや交通事故などのリアルデータとデジタル技術を融合させ、自動運転サービス実証に必要な「事故の予防・監視・補償」の高度なデジタルリスクアセスメントを搭載した自動運転実証プラットフォームの構築を目指していきます。
現在、自動運転の事故トラブル対応サービス研究拠点「コネクテッドサポートセンター」を開設し、自動運転サービス実証を支えるインシュアテックソリューション「Level Ⅳ Discovery」の共同研究(注)に取り組んでおり、「安全性の向上」と「低コスト」での自動運転社会の実現を目指しています。
(注)「Level Ⅳ Discovery」は自動運転システム開発技術を持つ「(株)ティアフォー」と高精度三次元地図技術を持つ「アイサンテクノロジー(株)」との業務提携にもとづく共同開発です。
② MaaSの普及促進に向けた取組み
MaaSの発展は、シームレスな地域交通システムに向け、駅やバス停などから目的地までの「ラストワンマイル」の空白を埋める重要な役割を担うとされています。自家用車に依存しない地域内移動の実現は、温室効果ガスの削減に大きく貢献します。
当社グループは、個人間カーシェアリング、マイカーリース、駐車場シェアリングに参入し、MaaSの普及促進を目指しています。また、MaaSの実証実験に関するリスクマネジメントサービスや、市町村やNPO等の移動支援サービスの運営主体向けの保険提供を行っています。
今後は自動車保険データや代理店販売網を活かし、これらの事業をさらに拡大し、「移動革命」の実現に貢献していきます。
また、ラストワンマイルの解決に向けて注目をされている電動キックボードのシェアリングへの取組みを開始し、普及に向けて専用保険の開発や安全確保のためのリスクアセスメントを進めてまいります。
2. ESG投資を通じた取組み
当社グループは機関投資家としての活動を通じて、脱炭素社会の実現に取り組む企業をサポートしていきます。
損保ジャパンではアセットオーナーとしての責任投資を果たしていくために、投資先企業とのESGをテーマとした対話を積極的に行い、企業として取り組むべき課題や方向性を共有し、これらに対する具体的な取組みを発信することを通じて、企業のイノベーションを後押ししていきます。
SOMPOアセットマネジメントは、気候変動対応に関する集団的エンゲージメントであるClimate Action100+に参画し、企業の取組みを積極的に後押ししていきます。
また、モントリオールカーボンプレッジにも参画し、投資ポートフォリオにおける温室効果ガス削減量の開示にも積極的に取り組み、投資先企業のGHG排出量の把握に努めています。
なお、1999年から提供している『損保ジャパン・グリーンオープン(愛称:ぶなの森)』では、環境対策に積極的に取り組む企業に投資を行うと同時に、毎年投資対象企業へのアンケートを通じて環境経営度を調査し、分析結果をESG評価に反映し回答企業にフィードバックすることで、取組み改善を促すなど、ESG投資を通じた好循環を構築しています。長期に渡る先駆的な活動と高い運用パフォーマンスの両立等を評価され、この取組みは2018年度「21世紀金融動原則」の最優良取組事例として、「環境大臣賞総合部門特別賞」を受賞しました。
今後は同ファンドを通じて20年以上にわたり蓄積したデータを分析し、環境と企業の成長の相関を示すことにチャレンジし、ESG投資の普及や企業のイノベーション促進にも取り組んでいきます。
今後も当社グループは幅広いステークホルダーとの対話やイニシアティブへの参画を通じて取組みを進化させていきます。また、長期的な課題解決に向け、環境問題に対する意識・関心を高め、自発的に行動できる環境人材育成にもNGOと連携のうえ取り組み、脱炭素社会に向けたイノベーションの達成に貢献していきます。