高温超電導技術の開発・普及
住友電気工業株式会社
概要
当社は、1986年の高温超電導材料の発見以来、ビスマス系超電導体および希土類系超電導体の線材化とその応用製品の開発に取り組んできた。超電導材料は、例えば、液体窒素で冷却することで、その電気抵抗がゼロになる特徴を持っており、通電時の電力損失をゼロにすることができる。また、大電流をコンパクトな形状で通電することができるので、ケーブルやモータを小型、軽量な形状で形成することができ、建造時や運用時のエネルギーの効率を向上させるのに効果がある。
説明
● 超電導ケーブル
超電導ケーブルは、冷却して運用される際、超電導体の電気抵抗がゼロであるので、通電損失を非常に小さくすることができる。また、超電導体に流す電流密度が大きく、大電流を流すことができるので、送電電圧を小さくでき、誘電損失を低減することができる。また、コンパクトな形状で送電できるので、送電線路の建設工事の削減や既設の用地が利用でき、建設時のエネルギーを大幅に低減することができる。
当社はビスマス系超電導体の安定供給を実現し、超電導ケーブルの実証実験も重ねてきている。各国の超電導ケーブルプロジェクトと連携し、高性能・高品質な超電導線材を提供することで、送電線路へ低損失・高効率である超電導ケーブル技術の導入・普及に貢献していきたい。
● 超電導モータ
当社は船舶用や自動車用の超電導モータの開発を行ってきた。超電導体の抵抗がゼロであることにより、モータ電流による電力損失が低減されることに加え、モータ自身が小型・軽量になることにより、船舶用としては、水力抵抗が小さくなり推進効率の向上に有効となる、自動車用の場合は燃費向上に効果がある。
当社はモータメーカーや研究機関と連携し、より小型・高性能なモータ開発に求められる超電導線材を供給することにより、その導入・普及に貢献していきたい。