グリーンアルミ二ウムによる脱炭素化への貢献
ルサールジャパン有限会社
概要
ルサールジャパンは、ロシアの大手アルミニウム製錬メーカー、ルサール社の日本法人です。ルサールはアルミニウムのグローバル企業で、世界最大の「グリーンアルミニウム」製造会社です。ルサールのアルミニウムの全生産量の90%以上を再生可能エネルギーで生産しています。2020年には、世界のアルミニウム生産量の約5.8%、アルミナ生産量の約6.5%を生産しており、ルサールの生産量の44%が付加価値製品となっています。
ルサールはCO₂排出の少ないグリーンアルミを「ALLOW」としてグローバルに供給しています。アルミ1トンを製錬する際に排出するCO₂(Scope1&2)は、「ALLOW」が2.4トンに対し、業界平均は約12トンと、1/5の水準に抑えることができます。
弊社では、グリーンアルミのCO₂排出量低減に対する有用性を日本のマーケットに伝え、広くご使用いただくことで、需要家のScope3の原材料調達におけるCO₂排出削減に寄与し、日本の脱炭素社会の実現に貢献していきたいと考えています。
説明
ルサールが属するEn+グループでは、“Pathway to Net Zero”をテーマに、2030年までにScope1&2からのGHG排出を2018年比で35%削減、および2050年までのカーボンニュートラルを発表しており、弊社もその目標達成に向けて取り組んで参ります。
アルミニウム製錬には膨大な電力が必要であるため、使用する電力が再生可能エネルギーか否かで、CO₂排出量に大きな差が生じます。全世界では、約7割以上が非再生可能エネルギーにより製錬されており、Scope1&2からのCO₂排出が4トン未満のいわゆる「グリーンアルミ」は、全体の約20%に過ぎません。
ルサールでは、「グリーンアルミ」のなかでも特に「Scope1&2で4トン未満、かつFull Scopeで8トン未満」の条件を満たす低炭素アルミに「ALLOW」の認証を付与しており、この「ALLOW」の普及を通じて、需要家のScope3のCO₂排出削減に貢献していきます。なお、「ALLOW」には、出荷元の製錬所ごとに第三者機関が発行する二酸化炭素排出成績証明書を添付することが可能です。
日本におけるアルミニウム業界の低炭素化については、展伸材へのリサイクル材使用率の引き上げ、水平リサイクルの新たな取組、資源循環に関する新たな技術の体系の確立など、主にアルミリサイクルに着目した目標が掲げられています。アルミリサイクル材は、CO₂排出量が低く、輸入に頼っているアルミ新地金の使用量を減らすためにも、その活用の重要性は言うまでもありません。
しかしながら、使用済最終製品からのスクラップ回収・再生比率は、2割強にとどまるという調査結果があります。選別や加工技術といった様々な取り組みによってリサイクル率が向上しても、一定量のアルミ新地金を使用し続けることが必要となると考えられます。そのために、原材料調達全体を通じた取り組み、つまり、アルミリサイクルと並行して、アルミ新地金においてもいかにCO₂排出量を削減するかが重要です。アルミ新地金として「グリーンアルミ」を選択することによって、リサイクル材の活用と併せて、最大限のCO₂排出量削減が可能になります。
2021年1月、En+グループおよびルサールは、2030年までにScope1&2からのGHG排出量を2018年比で35%削減、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指す野心的な目標を掲げました。
この目標達成のためには、生産工程全体を通じた改善と技術革新が必要となり、不活性陽極を使用した製錬技術、生産プロセスの改善に多額の投資を行うと同時に、カーボンニュートラルに向けた様々な取り組みを進めて参ります。
先日、En+グループは「Pathway to Net Zero報告書」を発表しました。このレポートには、目標達成のためにEn+グループ全体で実施している取り組みを詳しく説明しています。
従来のアルミニウム製錬プロセスにおいては、陽極に炭素素材を使用しますが、新技術では不活性陽極を使用することで、製錬時のCO₂の発生をなくし、GHG排出を大幅に削減することが可能となります。今年、ルサールはこの新技術により、アルミ二ウム1トン当たりのScope1&2からのCO₂排出量が0.01トン以下という、業界で最も排出量の少ないアルミニウム地金の生産に成功しました。2021年には、この新技術にて製錬されたアルミニウム地金を使用したエアゾール缶と飲料缶のベータテストに成功し、その他の用途においても、多くのバリューチェーン・パートナーとの取り組みが進行中です。