鋼材切断用ガスの水素代替活用によるCO₂削減
三菱製鋼株式会社
概要
産業分野の中でも多くのCO₂を排出している鉄鋼業において、水素をエネルギー代替として利活用する事は有効な方法と考えられる。
当社グループの主力部門である三菱製鋼室蘭特殊鋼株式会社の製鋼工場では約1600℃に溶けた鋼(溶鋼)を連続鋳造機で鋳込み鋳片を製造している。鋳片はガス切断装置にて最終製品に応じた長さに切断されており、その燃焼ガスとしてLPGを用いている。
このLPGを水素へ転換することでCO₂排出量をゼロとすることを目標とする。
説明
水素を燃焼ガスとして用いる切断設備は既に実用化されているが、連続鋳造直後の温度帯の鋼材を対象とした設備は実用化されていないため、鋳片への水素切断の適用については知見が限られる。水素を用いた切断については、実証試験を行うことで、新しい技術開発が必要と思われる。
三菱製鋼室蘭特殊鋼株式会社では常時稼働しているガス切断装置以外に、サンプル採取用の切断装置があり、間欠での使用なので、この設備を用いた試験を通じ新技術の開発を行い、利用可能な設備からノウハウを得て、加熱炉などの大型設備の水素代替へ展開していく。
開発の要点は;
(1)LPGと同等かそれ以上の切断品質となる。
水素は燃焼速度が速く、フレームの伸びが短いことが想像される。
板厚方向に均一な切断を実現する。
(2)切断速度
設備能力は現状かそれ以上を確保するための設備、操業条件洗い出し。
(3)コスト削減
現状、水素は現時点では購入コストが高いため、使用量を極力少なくした切断条件の選定。
連携先
三菱製鋼室蘭特殊鋼株式会社