カルシウム含有廃棄物からのCa抽出およびCO₂鉱物固定化技術の研究開発
住友大阪セメント株式会社
概要
二酸化炭素を炭酸カルシウムのような鉱物の形態で固定化する手法は、鉱物固定化技術と言われ、二酸化炭素を有効利用する技術(CCUS)の一つとして注目されています。
また経済産業省の「カーボンリサイクル技術ロードマップ」(2019年6月)においては、二酸化炭素を資源と捉え、鉱物化や人工光合成、メタネーションによる素材や燃料への再利用等とともに、大気中へのCO₂排出を抑制していく考え方が示されています。
当社においても二酸化炭素鉱物固定化技術開発に取り組んでいます。
説明
鉱物固定化をするためには、カルシウム等を含む材料が必要となります。天然物としては玄武岩のような塩基性の鉱物などが例として挙げられますが、当社は未だ有効利用されていない未利用廃棄物に注目しています。
ごみ焼却灰・スラグ・廃コンクリート・生コンスラッジ・バイオマス灰などの多様なカルシウム含有廃棄物からの効率的なカルシウム回収を二酸化炭素鉱物固定化により行い、新たなカーボンリサイクルプロセスを構築するための基盤技術開発を実施しています。
カルシウムを多様なカルシウム含有廃棄物から抽出し、二酸化炭素は燃焼排ガスなどから分離回収することなく直接利用して、鉱物固定化により炭酸カルシウムとして回収します。回収した炭酸カルシウムはセメント増量材・原料への有効利用を行います。性状の良いものを回収することを目指しており、より付加価値の高い利用先(各種フィラー)についても検討中です。
またカルシウム抽出後の残渣については、廃棄物の原燃料利用が進んでいるセメント産業での有効利用を図る考えです。
カルシウム含有廃棄物から効率的なカルシウム抽出を行うための、省エネルギー・省資源となるカーボンリサイクルプロセスの確立を目指し、また今後の実用化・社会実装に向けて、実証設備での試験を実施できるよう取り組んでいます。
連携先
本技術開発に関しては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として山口大学・九州大学と共同で進めています。
補足情報
本件は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として実施しています。